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インタビュー:来年早期に物流施設で省人化実験=ヤマト運輸社長

2017年12月15日(金)19時39分

 12月15日、ヤマト運輸(東京都中央区)の長尾裕社長は、ロイターのインタビューに応じ、人手不足感は12月に入ってもう一段厳しくなっている印象だと述べた(2017年 ロイター/Issei Kato)

[東京 15日 ロイター] - ヤマト運輸(東京都中央区)の長尾裕社長は15日、ロイターのインタビューに応じ、人手不足感は12月に入ってもう一段厳しくなっている印象だと述べた。働き方改革を進めて採用競争力を高めると同時に、来年早期に神奈川県の新しい物流センターで省人化の実証実験を開始する予定を明らかにした。

長尾社長は、人手不足について「特に都市部で確保し難い状況が継続している。12月はもう一段厳しくなっている印象を受ける。特定の職種で集まり難くなっている」と述べた。集まり難い職種として、深夜の時間帯に行う、ターミナルでの仕分け作業を挙げた。

同社は働き方改革を進めており、「労働時間も含めて他産業のレベルに近付けていかなければ、将来的に社員の確保が容易ではなくなる。他産業と遜色のない労働環境をどう作っていくかは、将来の成長戦略を描いていくうえでも必須になっていく」と述べた。

また「省人化努力は大前提だが、働き手の賃金の上昇や労働時間も含めた労働環境をどう改善していくか。スピード上げて取り組まないと、この業界に人が来なくなってしまう。国としての危機になる、という大きな懸念を持っている」とした。

17年11月には新物流拠点「関西ゲートウェイ」の本格稼働を開始した。長尾社長は「関西ゲートウェイを含め各拠点は、人を配置することが大前提になっている。そのうえで、処理能力の高いマテハン(マテリアルハンドリング)が入っている」と説明。現在、どの部分で省人化できるか検討しているという。

長尾社長は、神奈川県で小規模な新しい物流ターミナルを設け、来年早々に省人化の実証実験を開始することを明らかにした。「従来のオペレーションの考え方を覆すもの。非常に面白いチャレンジ」と述べ、実験結果次第で、横展開を考えていくことになる。

<大口法人の運賃、適正ラインに達していない>

今年10月、ヤマト運輸は個人向けの宅配便の基本料金を27年ぶりに約15%引き上げた。アマゾンなどの大口顧客1万1000社のうち、値上げ交渉を行っていた1100社にについては「12月までに、交渉はほぼ完了した」という。

ただ、今回の値上げでも、サービス提供に対する対価としては「まだ適正ラインに達していない」と指摘。9月に発表した中期経営計画で導入を打ち出した「法人顧客プライシングシステム」を使いながら、労働コストや燃料費などを反映させる形で、1100社に限らず、今後も適正運賃に近付ける努力を続けていく。その際には、例えば不在率が改善した場合などは「われわれのオペレーションコストが下がったことを反映することもある。上げるだけの話ではなく、オペレーションの効率化を反映することも可能」と述べ、値下げにも活用できるシステムだと説明した。

15日に発表された12月全国企業短期経済観測調査(短観)では、大企業・製造業の業況判断DIがプラス25で5四半期連続改善し、11年ぶりの高水準となった。ただ、長尾社長は「景気・消費が良いとの実感はまだ持てない。宅配便が増加していることと、景気は別問題。景気が良くて荷動きが良いわけではない」と述べた。宅配便の数量が増加しているのは、買い物がリアル店舗からECに移行していることや、荷物が小口化していることなどが要因だと分析した。

*内容を追加しました。

(清水律子 浦中大我)

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