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米11月雇用統計、就業者+22.8万人 賃金持ち直し健全な景気示す
12月8日、11月の米雇用統計は、非農業部門の就業者数が前月から22万8000人増。写真はコロラド州の就職フェア会場で8月撮影(2017年 ロイター/Rick Wilking)
[ワシントン 8日 ロイター] - 米労働省が8日発表した11月の雇用統計は、景気動向を敏感に映す非農業部門の就業者数が前月から22万8000人増と、底堅く伸びた。
賃金の伸びは緩やかなものにとどまったものの、米経済が健全な状態にあることが示され、一部アナリストの間ではトランプ大統領が提案している種類の財政刺激策はもはや必要ないとの見方も出ている。
11月は一連のハリケーンによる統計の歪みが薄れた。市場予想は20万人増だった。賃金も持ち直し、経済が好調な状態であることを示した。アナリストらはこうした状況の下、トランプ米大統領が公約している景気刺激は必要ないと指摘している。
10月の就業者数は当初発表の26万1000人増から24万4000人増へ下方改定された。ハリケーン「ハービー」と「イルマ」によって一時的に職を失った何千もの人たちが再就職する中で底堅く伸びた。ハリケーンは9月の統計にも影響を及ぼした。11月の統計はハリケーンの影響がなくなった。
1時間当たりの平均賃金は前月から5セント(0.2%)増えた。10月は0.1%減だった。11月の前年同月比は2.5%増と、10月の2.3%増から伸び率が拡大した。平均週労働時間は34.5時間と、10月の34.4時間から増えた。
RDQエコノミクス(ニューヨーク)の首席エコノミスト、ジョン・ライディング氏は「賃金の伸びは依然として緩慢過ぎるとの議論もあるが、われわれの調査では人口要因を勘案すると賃金の伸びは適切であることが示されている」と指摘。「労働市場の引き締まりが継続するなか、時間当たり平均賃金(の伸び)は来年は3%を超えると予想している」と述べた。
また、ブラウン・ブラザーズ・ハリマン(ニューヨーク)のグローバル外為戦略部門責任者、マーク・チャンドラー氏は、「週労働時間が6分伸びたことはそれほど大きな変化のようには感じないが、労働市場の規模を考えるとアウトプットの面では有意な増加となる」としている。
労働人口が増える中で失業率は前月から変わらず、17年ぶりの低水準となる4.1%だった。
好景気を示す好調な指標を受け、トランプ大統領と共和党が進める税制改革への批判が出てくる可能性がある。税制改革法案は法人税を35%から20%へ引き下げることが含まれている。ナロフ・エコノミック・アドバイザーズの首席エコノミスト、ジョエル・ナロフ氏は「労働市場は好調だ。減税は、経済が減税を必要としているときに導入するべきで、今は必要ない」と指摘する。
共和党は、減税政策は景気を押し上げ、企業がより多くの雇用を生み出すと主張している。一方ほとんどのエコノミストは異議を唱える。労働市場は最大雇用状態に近い上、企業は適切な人材確保に苦戦しているのだ。募集件数は過去最高水準に近い状態にある。
第3・四半期国内総生産(GDP)は年率で3.3%増と、3年ぶりの大幅な伸びだった。
11月の雇用統計は、米連邦準備理事会(FRB)が12-13日の連邦公開市場委員会(FOMC)で利上げするとの見方に影響しないとみられるが、2018年の金融政策を巡る議論を方向付けるかもしれない。
FRBは今年、2回利上げし、18年は3回利上げする見通しを示している。
雇用は今年、平均して月に17万4000人増えており、16年の平均である18万7000人から減っている。雇用の伸びは通常、労働市場が最大雇用に近づくにつれて減速する。労働年齢人口の増加に見合うためには、月に7万5000人から10万人の雇用増が必要だ。
失業率は今年0.7%ポイント低下している。
働き口がなくて就職を諦めた人や、正規雇用を望みつつもパートとして働く人を含めた、より広範な失業率は8.0%と、11年ぶりの低水準をつけた10月の7.9%からやや上昇した。
エコノミストらは、労働市場のスラック(需給の緩み)が減る中で来年は賃金の伸びが加速するとみている。減税と合わせて物価を押し上げるだろう。
11月の雇用増加は広範な部門にわたった。建設は2万4000人増。ハリケーン被害を受けた地域の復興活動が一つの押し上げ要因だった。10月は1万人増だった。
製造業は3万1000人増と、2万3000人増加した10月に続き底堅く伸びた。小売りは1万8700人増と、1月以来の大幅増加だった。年末の休暇シーズンで雇用が増えたとみられる。百貨店の雇用は3100人増。メーシーズ
一方オンライン小売りは2600人減。政府は7000人増と、3カ月ぶりにプラスへ転じた。外食は1万8900人増だった。
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