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米年末商戦始まる、初日の客足は比較的穏やか ネット通販は好調

2017年11月25日(土)07時30分

米感謝祭明けの11月24日、2017年の米年末商戦が始まった。写真はターゲットのセールに訪れた買い物客。24日、ニューヨーク市ブルックリンで撮影(2017年 ロイター/Brendan McDermid)

[シカゴ/ニューヨーク 24日 ロイター] - 米感謝祭明けの24日、2017年の米年末商戦が始まった。小売各社は大幅な値引きや景品の配布など、集客に向けたさまざまな戦略を展開した。しかし初日の客足は比較的落ち着いており、買い物客の間からは商品を品定めし、実際の購入はネット通販でのセールを待つとの声が聞かれた。

感謝祭翌日の金曜日「ブラックフライデー」は小売業の書き入れ時となる年末商戦の開始日とされ、各社は大幅値引きで集客を仕掛ける。ただ、消費動向がネット通販にシフトし、実店舗がブラックフライデーのセール開始を感謝祭当日に前倒しする動きが増えていることで、ブラックフライデー当日は過去に見られたほどの賑わいにはなっていない。

こうした中、ネット通販の売り上げは好調となっている。アドビ・アナリティクスによると、米東部時間午前10時(日本時間25日午前0時)時点で、オンライン小売売上高は前年比18.4%増の6億4000万ドルに達した。同社はブラックフライデーのオンライン小売売上高が過去最高の50億ドルになると予想する。

また、同社データによると、前日のオンライン小売売上高は28億7000万ドルを超えた。

この日、実店舗のセールで目立ったのは、家電ベスト・バイによる一部テレビの200ドル超の値引き。ウォルマート・ストアーズは「プレイステーション4プロ」のコンソールを50ドル引き、ターゲットもビデオゲームを半額で販売した。

また、値引き以外での客足を誘う動きもみられた。米紙ニューヨーク・ポストによると、チョコレートの「ゴディバ」は客に無料でチョコを配ったり、化粧品セフォラは美顔パックの無料サービスなどを提供した。

百貨店メーシーズのジェネット最高経営責任者(CEO)はCNBCに対し、ネット通販事業が好調となっていることに言及し、今年の小売業全体の業績は前年から改善するとの見通しを示した。

ストラテジック・リソーシズ・グループのマネジング・ディレクター、バート・フリッキンジャー氏は「24日朝の客足は比較的穏やかとなっているが、過去3年でみれば最も良好だ」とし、消費者信頼感の改善や堅調な雇用情勢、良好な住宅価格動向などが背景にあることを指摘した。

こうした中、アラバマ州最大のショッピングモールでは23日夜半、女性客2人がけんかとなり警官が駆けつける騒ぎが発生。商品の取り合いが原因とみられる。その他にも2件の小競り合いが報告されたという。

実店舗小売業の最大の競合といえるアマゾン・ドット・コムはこの日、ネット通販の年末商戦開始日とされるサイバーマンデー(感謝翌週の月曜日)で打ち出すセールの宣伝を開始。音声認識アシスタント機能「アレクサ」を利用すると、サイバーマンデーの前日からセールにアクセスできる特典もあるという。

アドビは今年のサイバーマンデーのオンライン小売売上高は66億ドルになるとの見通しを示している。

ウォルマート、ターゲット、メーシーズ、JCペニーなどは、ブラックフライデーセールを23日夜から開始。また、アマゾンに応戦するため、ネット通販では10月頃からセールを展開してきている。

ただこの日は、ホームセンターのロウズや衣料品ギャップ、スウェーデンのアパレル小売り大手へネス・アンド・マウリッツ(H&M)など、一部小売業のネット通販が一時ダウンする場面もあったという。

また、一部買い物客の話では、メーシーズの一部店舗ではクレジットカード決済がしづらくなる障害が発生した。

米株式市場では、小売株は総じて上昇。メーシーズ株はCEOの明るい発言も追い風となり、一時4.7%上昇。その後2.1%高で引けたものの、クレジットカード決済の障害に関する情報が伝わったことで、引け後の取引で0.6%下落する場面もあった。

同業JCペニーは2.5%上昇後、0.6%高で引けた。ウォルマートは0.2%高で終了した。アマゾンは過去最高値更新後、2.6%高で取引を終えた。

ターゲットは振るわず、2.8%安で終了。アナリストによると、競合の多くが営業を続ける中、夜半に数時間閉店したことが重しとなったもよう。

*詳細を追加して再送します。

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