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焦点:健康志向の中国で投資呼ぶ新興食品ブランド、大手を圧迫
11月10日、中国のベンチャーキャピタルやプライベートエクィティ(PE)ファンドは、健康的スナック食品の国内製造を手掛ける新興企業に数百億ドル規模の資金を注ぎ込んでおり、国内外の大手食品企業が占める市場シェアを脅かしている。写真は2016年9月、蕪湖市にオープンした三只松鼠の店舗。提供写真(2017年 ロイター)
Farah Master and Donny Kwok
[香港 10日 ロイター] - 中国のベンチャーキャピタルやプライベートエクィティ(PE)ファンドは、健康的スナック食品の国内製造を手掛ける新興企業に数百億ドル規模の資金を注ぎ込んでおり、国内外の大手食品企業が占める市場シェアを脅かしている。
健康志向を強める中産階級をターゲットにした巧みなマーケティングやオンライン広告効果で、ナッツ類を手掛ける「三只松鼠」(「3匹のリス」の意)や、ギリシャヨーグルトの「楽純」といったブランドが、5000億ドル(約57兆円)超の規模を誇る中国飲食料品市場において、大企業のシェアをじわじわと奪っている。
こうした新興ブランドは売上高が2─3桁の成長を記録し、バリュエーションも急騰。特に、急成長するオンライン市場を席巻している。
ベンチャーキャピタルによる中国の飲食料品業界向け投資は、この2年で2倍近くとなる20億ドルに達したと、中国最大級のPE企業で、グローバルのピザチェーン「ピザエクスプレス」を所有する弘毅投資(ホニー・キャピタル)のWang Xiaolong氏は言う。
「中国の食品や飲料品ブランドが世界ブランドに発展するのは時間の問題だ」と、Wang氏はロイターに語った。そして、このトレンドは止まることはない、と付け加えた。
中国ではスポーツや運動をする人が増え、肥満や糖尿病といった生活習慣病に対する意識も高まっており、ミレニアル世代を中心に、より健康的な食品の需要が高まっている。
過去10年に、中国で汚染食品を巡るスキャンダルがたびたび発生したことも、この傾向を後押ししている。
中国の飲食料品ブランドは、製品の健康効果だけでなく、品質向上にも注力しており、国内人気が上昇していると、ベルギーの投資会社ベルリンベストのニコラス・ケイター氏は語る。同社は昨年、国有の華潤創業と3億ドルの合弁会社を設立している。
ケイター氏によると、同社は三只松鼠や楽純などのブランド投資に関心があり、流通やブランド戦略、技術などで支援したい考えだという。
「市場はヒートアップしている。飲食料品ブランドはテクノロジーやヘルスケアに比べて遅れをとっていたが、バリュエーションが伸びてきている」と、ケイター氏は語る。
ギリシャヨーグルトやナッツ類、プロバイオティクス飲料の売上げが急成長し、代わりに砂糖や保存料を大量に使った食品の売上げが落ち込んでいると、アナリストや食品会社幹部は指摘する。
鍋物やチリソース、ミルクティーなど、中国の特産品や名物料理の中にも記録的な売上げを示しているものがある。例えば、鴨首肉の煮込み料理専門店を展開する周黒鴨<1458.HK>は、鴨の煮込みをベースにした高級スナックを販売し、高品質を強調している。
楽純や三只松鼠、周黒鴨は、コメント要請に応じなかった。
<モバイル・キャンペーン>
ニッチな飲食料品ブランドの多くは、インタラクティブなオンライン広告やモバイルを使ったキャンペーンを駆使して、高品質の原料や製造方法、原料供給網について説明し、ミレニアル世代の顧客層を急拡大した、とアナリストは指摘する。
こうした販売戦略により、新興企業は、売上低迷に悩む即席めんメーカーの康師傳<0322.HK>や米菓・飲料メーカーの中国旺旺<0151.HK>など、既存の業界大手を上回る成長を記録している。
中国旺旺の蔡衍明会長は8月、タンパク質の豊富な子供向け乳飲料や、そば粉を使った麺を投入し、健康志向の食品ライン充実を表明。康師傳も8月、若い家庭やアスリート向けにノンフライ麺を使った製品を発表した。
米コンサルティング大手のベイン・アンド・カンパニーが10月に公表したレポートによると、2017年上半期のチョコレートやガム、あめの販売量は、2ケタのマイナスを記録した。
ヨーグルトや容器入り飲料水の販売は「特別に良好」だとベインは指摘。このことは、「ガムや菓子などあまり健康的ではないと考えられている製品を否定し、心身の健康を追求する中国の消費者の熱意が、いまだに継続していることを裏付けている」と説明する。
米チョコレート大手のハーシー
電子商取引大手アリババ
(翻訳:山口香子、編集:下郡美紀)