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焦点:円高でも日本株高、海外勢引き付ける
11月2日、円高にもかかわらず日本株高となる中、ゴールドマン・サックス・グループ・インクやブラックロックを含む海外勢が日本株に数百億ドル規模の資金を投じている。写真は都内で10月撮影(2017年 ロイター/ISSEI KATO)
[ニューヨーク/東京 1日 ロイター] - 円高にもかかわらず日本株高となる中、ゴールドマン・サックス・グループ・インク
今年に入ってから円相場は対ドルで3%近く上昇しているものの、日経平均<.N225>は1996年以来の高値を付け、配当を含むリターンは17%、ドル建てでは20%となっている。通常、円高は日本の輸出にとって不利に働くため、日本株安につながる。
外国人投資家は従来、企業の利益拡大の持続性に疑念を抱いていたことから日本株を総じて避けていたが、東京証券取引所によると、過去6週間で日本株と先物を4兆4000億円(390億ドル)買い入れた。北朝鮮情勢が緊迫化した7月半ばから9月前半にかけては2兆4000億円(210億ドル)の売りを出していた。
<「最も割安」>
堅調な内需を背景に日本の2017年4─6月期実質国内総生産(GDP)が年率換算で2.5%増と、6四半期連続のプラス成長となる中、日本株は外国人投資家にとって依然魅力的となっている。
ブラックロック・グローバル・アロケーション・ファンド
トムソン・ロイターのデータによると、予想PER(株価収益率)は米国株が18.6倍、日本株が15.4倍だ。
ケステリッチ氏によると、しぶとい低インフレや重い債務負担、高齢化など、割安となっているのにはもっともな理由がある。
<日銀リスクも>
日銀は大規模な金融緩和策を維持しており、年間6兆円(530億ドル)のペースで上場投資信託(ETF)を買い入れている。黒田東彦総裁は10月31日、本格的な出口戦略の実行に乗り出す前にETFの買い入れペースを鈍らせる可能性を示唆した。
市場は現時点でそうしたリスクを考慮していない。マクロ・リスク・アドバイザーズの分析によると、統計的にみて今年に入ってから日本株は円高でも売られなくなっている一方で、円安の際には依然として値を上げている。
ソニーフィナンシャルホールディングス<8729.T>のエコノミスト、渡辺浩志氏は「輸出は円相場の影響を受けにくくなっている」と指摘。「現在のところ、デジタル製品に対する需要は力強く、多くの日本製品は価格面よりも品質面で競争力がある」と語った。
<ファンダメンタルズに注目>
日本の輸出の伸び率は8月に約4年ぶりの大きさとなった。9月には伸びが鈍化したものの、エコノミストは一時的なものとみている。また、9月の小売業販売額(全店ベース)は前年比2.2%増と、3カ月ぶりの高い伸びとなった。
グラスキン・シェフ・アンド・アソシエーツ
<企業改革拡大か>
一方、大きなスキャンダルを受け、一部の投資家は依然としてコーポレートガバナンス(企業統治)を懸念。神戸製鋼所<5406.T>の製品データ改ざん問題は底なし沼の様相を呈している。
ただ、資産運用会社ゴールドマン・サックス・アセット・マネジメントの顧客ポートフォリオマネジメント・ビジネス戦略部門グローバル責任者、ケイティ・コック氏は、日本経済の競争優位性が高まる可能性があり、役員報酬といった問題を巡る企業改革が一層拡大しそうだと指摘する。
同社の日本株ポートフォリオには、年初来で55%値を上げている日本電産<6594.T>や、同52%高のポーラ・オルビスホールディングス<4927.T>が含まれている。
日本電産は成長市場である電気自動車向け小型モーターを製造し、ポーラ・オルビスの化粧品は拡大する中国の中間層を引き付けている。
<自動化もテーマ>
日本株を巡ってはオートメーション(自動化)もテーマだ。米国に上場する2つのロボティクスETF(グローバルX・ロボティクス&アーティフィシャル・インテリジェンスETF
ファナックは工場の自動化を支援しており、株価は年初来で38%以上値を上げている。また、トムソン・ロイター傘下のリッパーによると、2つのロボティクスETFにはこれまでに21億ドルの資金が流入している。