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スバルも無資格者が完成検査、リコール対象25万台超 費用50億円強
10月27日、SUBARU(スバル)は、車両組み立て工場の群馬製作所(群馬県太田市)で新車出荷前の「完成検査」を無資格者が行っていたと発表した。写真は都内で会見する吉永社長(2017年 ロイター/Kim Kyung-Hoon)
[東京 27日 ロイター] - SUBARU(スバル)<7270.T>は27日、車両組み立て工場の群馬製作所(群馬県太田市)で新車出荷前の「完成検査」を無資格者が行っていたと発表した。社内の業務規定が、自ら国に提出した完成検査方法の運用と異なっていた。
業務規定では正規の完成検査員になるために現場経験を義務付けており、研修中で登用前の従業員が検査に従事し、正規検査員の印章を借りて押すなどしていた。
日産自動車<7201.T>での無資格者による完成検査発覚を受けて、スバルが実施した社内調査で判明した。同社は30日に国土交通省に調査結果を報告する。
同日夕に会見した吉永泰之社長は「多大なご迷惑、ご心配をおかけした」と謝罪。「完成検査員になるためのハードルをとても高くしていたことが、結果的に裏目に出た」とし、「30年以上前からこういう仕組みだった。『まずい』という認識がないままやってきた」と説明。「ただ、ルールはルール」として早急に規定を体系的に整理し直す方針を示した。
無資格者による検査を経て出荷された車を持つ顧客の安心・安全を確保するため、初回の車検がまだ済んでいない計12車種、約25万5000台のリコール(回収・無償修理)を実施する予定。リコール費用は50億円強となる見通し。
完成検査は出荷前に保安基準に適合しているかなどを最終確認する検査で、国交省が本来すべき検査を企業が代行する形で実施するもの。企業側が検査方法などを事前に定め、国交省に届け出た方法で行うよう規定されている。ただ、社内の業務規定では、完成検査の資格を持つ現場管理者や監督者の監督のもと、整備士などの保有資格に応じて設定された期間まで現場を経験することを義務付けており、資格を取る前に研修の一環として完成検査業務に従事していた。
今月1日現在の完成検査員は会社全体で245人、無資格者は4人。3日に不正を確認した時点で無資格者の4人をラインから外した。現在は完成検査員だけで検査し、通常通り出荷しているが、今後については報告後、国交省と相談するという。
吉永社長は「解釈の部分も多いと感じた」ため問題があるのかどうかを同省に問い合わせていたといい、公表までに時間がかかったと話した。神戸製鋼所<5406.T>や日産の不正で日本のモノづくりに対する信頼が揺らぐ中、自社も不安を与えていることに「非常に忸怩(じくじ)たる思い」と語り、国内販売への影響やブランド毀損が「非常に心配だ」と述べた。
*内容を追加しました。
(白木真紀)