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インタビュー:米FRB、インフレ目標守るべき=セントルイス連銀総裁
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10月12日、米セントルイス地区連銀のブラード総裁はFRBが2%に設定しているインフレ目標を明確に守る姿勢を示さなければ、信頼が損なわれるだけでなく、景気後退を招く恐れがあるとの考えを示した。写真は2016年10月、ワシントンのFRB(2017年 ロイター/Kevin Lamarque)
[ワシントン 12日 ロイター] - 米セントルイス地区連銀のブラード総裁は12日、連邦準備理事会(FRB)が2%に設定しているインフレ目標を明確に守る姿勢を示さなければ、FRBに対する信頼が損なわれるだけでなく、リセッション(景気後退)を招く恐れがあるとの考えを示した。
同総裁はロイターのインタビューで、「インフレ目標を設定するなら、守る必要がある。インフレ目標の達成を掲げるなら、達成に向け努力し、信頼を維持する必要がある」と述べた。
そのうえで、FRBが物価水準を推し量るために注目している指標がこのほど低下していることは、目標達成に向け「過去2年間に見られた成果が多かれ少なかれ、完全に失われたことを意味している」とし、こうした環境下で利上げを継続することは「インフレ目標はそれほど重要ではないとのシグナルを市場に送ることになる」と指摘。
インフレが低下するなかでFRBが利上げを実施すれば、インフレの一段の低下、さらには景気後退につながる政策上の誤りを犯すリスクが出てくるとの見方を示した。
また、一部FRB当局者がインフレ率の低迷は経済の一部に見られる一時的な要因によるものとの見解を示していることについては、分析対象を「細かくし過ぎている」とし、技術革新などの要因が物価抑制の背景にあるとの事実を看過しているとの見方を示した。
そのうえで、技術革新が世界的に物価を抑制しているとの可能性についてオープンであるとの姿勢を表明。現在の経済モデルを巡る先行き不透明感が出ていることは、FRBが「知性上のリーダーシップ」をとる必要があることを示しており、トランプ大統領が次期FRB議長にエコノミスト出身でない人物を選ぶ場合、こうした必要性は特に重要になるとの認識を示した。
来年2月に任期が切れるイエレンFRB議長の後任候補のうち、パウエルFRB理事、ウォーシュ元FRB理事、コーン国家経済会議(NEC)委員長の3人はエコノミスト出身でない。
ブラード総裁は、インフレを巡るFRBの見解が流動的であることを踏まえると、「誰が次期議長に就任しても初日からこの問題に直面する」とし、「論点になっているのはインフレであり、今後の政策をどう進めるかという点で決して小さな問題ではない」と語った。
株高やボラティリティーの低さ、小幅な信用スプレッドなどに表れる緩和的な金融状況を理由に利上げが必要とする見方については、明確に否定した。
金融市場の状況を測る指標は、市場が引き締まり、ボラティリティーが高まっている局面では問題の兆しを示すものとして重要だが、市場が落ち着き、緩和的になる局面では、先行きについてそれほど有用な情報を提供しないと述べた。
*内容を追加しました。