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アングル:トランプ大統領の税制改革案、財政赤字がネックに

2017年10月05日(木)14時31分

 10月4日、米国のトランプ大統領と議会共和党指導部は先週、税制改革案を発表したが、財政赤字が大きな障害として立ちはだかっている。写真は裁断前の米5ドル札。2015年3月ワシントンで撮影(2017年 ロイター/Gary Cameron)

[ワシントン 4日 ロイター] - 米国のトランプ大統領と議会共和党指導部は先週、税制改革案を発表したが、財政赤字が大きな障害として立ちはだかっている。

財政タカ派(財政再建重視派)のボブ・コーカー上院議員は、税制改革案が財政赤字の拡大につながる場合、支持しないと表明。

米国の財政赤字は年間5500億ドル、政府債務は20兆ドルを超えている。

共和党の税制改革案には、最大6兆ドルの減税が盛り込まれており、連邦政府の歳入は急激に落ち込む見通し。減収分に相当する歳出削減は提案されておらず、このままでは財政赤字と政府債務が膨らみかねない。

政権は、歳入減を補うには、経済成長と優遇税制廃止が必要だと主張。減税で景気が拡大すれば、税収が増えるとしているが、非営利組織「責任ある連邦予算委員会」は、そうした見方は誤りだと反論している。

税制改革案では、少なくとも4兆ドルの新規歳入を優遇税制の廃止で確保する必要があるが、優遇税制の廃止は特殊利益団体などから反発を招く公算が大きい。

例えば、共和党は州・地方自治体の所得税について、個人所得税控除の廃止・縮小を提案。1兆3000億ドルの確保を目指しているが、関係者によると、ニューヨーク州やカリフォルニア州では、共和党議員も含め、控除廃止に反対する声が出ている。

アナリストは、ベビーブーム世代の高齢化で社会保障費が膨らむ中、政府債務はすでに持続不可能な拡大基調にあると指摘。政府債務増大で金利が上昇し、民間企業の資金調達が難しくなれば、将来の経済成長が脅かされるとの見方を示している。

ロイター
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