ニュース速報

ビジネス

米7月JOLTS、求人件数が過去最多 高技能労働者不足が顕著

2017年09月13日(水)02時55分

9月12日、米労働省が発表した7月の米求人労働移動調査(JOLTS)で、求人件数が調査開始以来最多となった。相次ぐハリケーン襲来前は米労働市場は堅調で、8月の雇用増ペースの軟化は一時的なものだった可能性があることが示された。写真は2009年3月、ニューヨークで(2017年 ロイター/Mike Segar)

[ワシントン 12日 ロイター] - 米労働省が発表した7月の米求人労働移動調査(JOLTS)で、求人件数が調査開始以来最多となった。相次ぐハリケーン襲来前は米労働市場は堅調で、8月の雇用増ペースの軟化は一時的なものだった可能性があることが示された。

求人件数は季節調整済みで5万4000件増の620万件となり、2000年12月の調査開始以来の高水準となった。求人件数は2カ月連続で600万件を超えている。

採用件数は6万9000件増の550万件。採用率は3.8%と前月の3.7%から上昇し、約1年半ぶりの高水準を付けた。

RDQエコノミクス(ニューヨーク)の 首席エコノミスト、ジョン・ライディング氏は「雇用主は高い技能を持つ労働者を必要としているが、そうした労働者の供給は少なくなっている」と指摘。「こうしたことは労働市場が比較的正常な状態に戻った可能性があることを引き続き示しており、連邦準備理事会(FRB)による例外的な支援はもはや必要ない可能性がある」と述べた。

労働者不足を背景に労働市場の引き締まりが継続していることが確認され、インフレ率は目標を下回り続けているものの、FRBは年内は金融引き締めを継続する可能性がある。

JPモルガン(ニューヨーク)のエコノミスト、ダニエル・シルバー氏は「今回のJOLTSで労働市場が7月は堅調だったことが示され、8月の雇用統計がやや失望感を誘ったことについて大きく懸念する必要はないとのわれわれの見方が裏付けられた」としている。

7月は業種別では運輸、倉庫、公益で7万件増加。教育サービスで2万6000件増加したほか、建設は2万件増加した。

一方、製造業は2万9000件減少。ヘルスケア・ソーシャルアシスタンスは7万2000件減となったほか、政府部門は2万1000件減少した。

自発的な離職件数は約320万件と、前月の310万件から増加。離職率は2.2%と、前月の2.1%から上昇した。連邦準備理事会(FRB)は離職率を労働市場の信頼感を推し量る指標と見なしている。

ナロフ・エコノミック・アドバイザーズの首席エコノミスト、ジョエル・ナロフ氏は「労働者が現在の職を手放さないことが企業にとり問題となっている」と指摘。「他社から人材を引き抜きかない限り転職する理由は生まれず、採用可能な高技能労働者の数が限定される事態となっている」と述べた。

レイオフ・解雇件数は2万3000件減の178万件。レイオフ・解雇率は1.2%と、前月から横ばいだった。

(※原文記事など関連情報は画面右側にある「関連コンテンツ」メニューからご覧ください)

ロイター
Copyright (C) 2017 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

トランプ氏、公的医療保険トップにTV司会者「ドクタ

ワールド

G20サミット、ウクライナ問題深入り避けたブラジル

ワールド

豪印、再生可能エネ・防衛分野で協力強化へ 首脳会談

ワールド

トランプ氏、「TikTok禁止法」無視できない=民
MAGAZINE
特集:超解説 トランプ2.0
特集:超解説 トランプ2.0
2024年11月26日号(11/19発売)

電光石火の閣僚人事で世界に先制パンチ。第2次トランプ政権で次に起きること

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り捨てる」しかない理由
  • 2
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 3
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査を受けたら...衝撃的な結果に「謎が解けた」
  • 4
    70代は「老いと闘う時期」、80代は「老いを受け入れ…
  • 5
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 6
    クリミアでロシア黒海艦隊の司令官が「爆殺」、運転…
  • 7
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 8
    なぜ今さら長射程ミサイル解禁なのか、ウクライナ戦…
  • 9
    クルスク州の戦場はロシア兵の「肉挽き機」に...ロシ…
  • 10
    メーガン妃が「輝きを失った瞬間」が話題に...その時…
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査を受けたら...衝撃的な結果に「謎が解けた」
  • 3
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り捨てる」しかない理由
  • 4
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 5
    クルスク州の戦場はロシア兵の「肉挽き機」に...ロシ…
  • 6
    沖縄ではマーガリンを「バター」と呼び、味噌汁はも…
  • 7
    メーガン妃が「輝きを失った瞬間」が話題に...その時…
  • 8
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 9
    アインシュタイン理論にズレ? 宇宙膨張が示す新たな…
  • 10
    2人きりの部屋で「あそこに怖い男の子がいる」と訴え…
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    外来種の巨大ビルマニシキヘビが、シカを捕食...大きな身体を「丸呑み」する衝撃シーンの撮影に成功
  • 3
    秋の夜長に...「紫金山・アトラス彗星」が8万年ぶりに大接近、肉眼でも観測可能
  • 4
    北朝鮮兵が味方のロシア兵に発砲して2人死亡!? ウク…
  • 5
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査…
  • 6
    足跡が見つかることさえ珍しい...「超希少」だが「大…
  • 7
    モスクワで高層ビルより高い「糞水(ふんすい)」噴…
  • 8
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 9
    予算オーバー、目的地に届かず中断...イギリス高速鉄…
  • 10
    「歌声が聞こえない」...ライブを台無しにする絶叫フ…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中