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ECB理事会後のドラギ総裁発言要旨

2017年04月27日(木)23時38分

 4月27日、ECBは政策金利と政策スタンスを予想通り据え置いた。写真は記者会見に臨むドラギ総裁。フランクフルトで同日撮影(2017年 ロイター/Kai Pfaffenbach)

[フランクフルト 27日 ロイター] - 欧州中央銀行(ECB)は27日の理事会で、主要政策金利と政策スタンスを予想通り据え置いた。

リファイナンス金利は0.00%に、限界貸出金利は0.25%に、中銀預金金利はマイナス0.40%にそれぞれ据え置いた。

ドラギ総裁の会見発言要旨は以下の通り。

<インフレに関するアセスメントに変更なし>

現時点で(政策変更について)討議する必要はないと考えている。インフレ見通しに関するわれわれのアセスメントを変更するに十分な証拠は出ておらず、インフレが持続的、自立的にわれわれのインフレ目標に沿う水準に収束していくとの十分な確信は得られていない。

<回復底堅さ増す>

3月初めの会合以降に入手したデータから、ユーロ圏景気の循環的回復は底堅さを増し、下振れリスクが低下したことが確認された。

<マクロン氏の仏大統領就任見通し>

理事会では政局でなく政策を討議している。

<IMF世銀会合とトランプ米政権の政策>

現時点で米政権が目指す将来の政策に基づいて、反応を示したり、政策決定を行ったりするのは時期尚早だ。一連の会合の結果、浮かび上がったことの1つに、保護貿易主義のリスクが幾分低下した可能性が挙げられよう。市場は米財政政策を再評価しており、率直に言ってこれ以上言及したくない。

<金利の緩和バイアス解除について>

この点については討議しなかった。討議の大部分はインフレではなく、成長を巡るリスクバランスに集約された。

緩和バイアスは実際、インフレに関連している。言い換えれば、緩和バイアスはインフレ率に関するテールリスクに対応するもので、成長に直接的に対応するものではない。成長見通しが改善するに従い、こうしたテールリスクの可能性は低下する可能性があるのは明確だ。ただ、まだそうした時点に達していない。

<成長見通しに対するリスクが低下する中での銀行セクターのリスク>

総じて景気回復は継続しており、裾野も広がっているが、われわれは銀行セクターのレバレッジや不良債権などに絡み、なお多くの脆弱性を抱えている。多数の国で不良債権がなければ、信用はもっと伸びていたはずだ。

<基調的インフレーション>

基調的なインフレ圧力は引き続き抑制されており、納得できる上向きトレンドはなお見られていない。

さらに、総合インフレのボラティリティが現在高まっていることは、物価安定に対する中期見通しに影響を及ぼさないHICPの一時的な動きを看過する必要があることを示している。

基調的なインフレを押し上げ、総合インフレを中期的に支援するためには、非常に大きな規模の金融緩和がなお必要となっている。

自分自身の基準に照らし合わせると、(インフレに関する)アセスメントは実際、変化していない。

<成長リスク>

ユーロ経済成長見通しを巡るリスクは、より均衡の取れた構成に向かいつつあるが、なお下向きだ。

<景気拡大>

継続中の景気拡大が、引き続き堅調に裾野を広げていく。

<外需>

世界回復ペースが堅調さを増し、世界貿易が拡大する兆候から、ユーロ圏景気拡大の全般的な回復力が外需によって高まっていくことがうかがえる。

ロイター
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