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トヨタが通期予想を上方修正、米生産体制「大きな変化なし」
2月6日、トヨタ自動車は2017年3月期連結業績予想(米国会計基準)を上方修正した。会見した大竹哲也常務役員(写真左)は「米政権の影響を現時点で見通すことは難しい」と指摘した(2017年 ロイター/Kim Kyung-Hoon)
[東京 6日 ロイター] - トヨタ自動車<7203.T>は6日、2017年3月期連結業績予想(米国会計基準)を上方修正した。想定為替レートを円安方向に見直したことなどを反映させた。ただ、前年に比べると引き続き円高水準にあるため、減益予想に変わりはない。
営業利益予想は前年比35.2%減の1兆8500億円に引き上げた。通期の想定為替レートを1ドル103円から107円に、1ユーロ114円から118円に変更したことや原価改善が減益幅縮小に寄与する。
ただ、金融事業の損益悪化や想定為替レート見直しによる円ベースのコスト増などもあり、上積み額は1500億円にとどめた。
会社予想はトムソン・ロイターがまとめたアナリスト25人の予想平均2兆0160億円に届かなかった。
想定為替レートの見直しなどを受け、売上高予想も前年比6.7%減の26兆5000億円(従来26兆円)に上方修正した。
2016年4─12月期は売上高が前年比6.0%減の20兆1547億円、営業利益が同32.5%減の1兆5554億円だった。
<米生産体制に大きな変化なし>
日本の自動車メーカーをめぐっては、トランプ米大統領の標的にされており、同社の米国事業の先行きには暗雲が立ち込めている。
会見した大竹哲也常務役員は米国の生産体制について「基本的にはいままでの説明から大きな変化はない」と指摘。その上で「米国は生産能力に大きな余力はない。工場建設もかなりのリードタイムが必要だ」と述べ、増産と工場建設のいずれも対応は難しいとの認識を示した。
同社によると、2016年の米国販売のうち、米国生産の割合は約49%となっている。
トランプ大統領は1月5日、トヨタがメキシコで工場建設を計画していることについて「あり得ない!米国に工場を建てるか、高い関税を支払え」とツイッターでつぶやいた。
大竹常務は国内生産についても「国内300万台という方針を現時点で転換することは考えていない」と述べ、現在の体制を維持する考えを示した。
<スズキとの資本提携「ゆっくり考える」>
トヨタとスズキ<7269.T>は同日、業務提携に向けた検討を開始する覚書を締結したと発表した。環境技術や安全技術など、幅広い分野での協業をめざす。
同席した早川茂専務役員は「業界内外での仲間づくりやルールづくりは従来以上に必要だ」とした上で、資本提携の可能性については「10月の両社トップの会見では資本についてはゆっくり考えると言ったが、いまもその状況だ。ゆっくり考えたい」と述べるにとどめた。
*内容を追加しました。
(志田義寧)