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インタビュー:空売り調査会社の推奨リポート注視=監視委員長

2016年12月21日(水)23時16分

 12月21日、証券取引等監視委員会の長谷川充弘委員長が、ロイターのインタビューに応じた。写真は都内で2012年6月撮影(2016年 ロイター/Kim Kyung-Hoon)

[東京 21日 ロイター] - 証券取引等監視委員会の長谷川充弘委員長は21日、ロイターとのインタビューで、日本市場の個別銘柄を標的にする空売り調査会社について、調査会社が発表する売り推奨リポートの内容が違法であれば適切に対処すると述べた。

不適切な空売りファンドを規制するために、新たな立法が必要だとは考えていないとも話した。

一方、東芝<6502.T>の不正会計が市場などに大きな影響をもたらした事実は「しっかり受け止めなければならない」と指摘した。歴代社長の刑事告発に向けた監視委の調査については、具体的な言及を避けた。

長谷川氏は検察官出身で、広島高検検事長を今年9月に退任。13日に監視委の委員長に就任した。

インタビューでの主なやり取りは次の通り。

――東芝の歴代社長の刑事告発に向けた監視委の調査について、事務局から説明を受けているようだが。

「個別の案件については答えを差し控えるが、東芝(の不正会計)に関する基本認識だけは明確に申し上げておく必要がある」

「東芝という案件は、日本の証券市場、経済界に大きな衝撃を与えて、いろんなことが現在進行形で進んでいる。しかも東芝はグローバルな企業で、名門企業。その企業で、約74億円の課徴金に値する不正会計があったということはしっかりと受け止めないといけない」

「それを受け止めるということと、証拠をどう収集して検察にバトンタッチできるか、できないかということは別個の問題。エビデンス(証拠)の中身に関わる調査活動については、今は沈黙させてほしい」

――東芝の不正会計の市場などへの影響をしっかり受け止めるのであれば、課徴金に続いて東芝の歴代社長の刑事責任を問うべきではないか。

「(告発に向けて)調査していると(佐渡賢一)前委員長が退任会見で言及したが、今後の方向性や、今何を考えているかはご容赦いただきたい」

――検察は東芝の歴代社長の刑事告発に消極的とされている。検察官出身の長谷川氏が委員長に就任したことで、告発が見送られるのではないかとの思惑が市場で出ている。

「検察当局が告発に消極的という報道は承知しているが、それが本当かどうか申し上げるわけにはいかない。(検察と監視委の)対立図式でことさらとらえようとする報道には首を傾げる」

――監視委は、証券会社の検査で金融庁との連携を強めている。監視委の独立性に影響はないか。

「監視委と金融庁は互いに別個独立しており、やるべきことも違う。連携を進めているのは情報収集。それぞれが得た情報は共有した方がいい。情報を共有することによって権限行使の独立性が損なわれることにはならない」

――米グラウカスなど空売り調査会社が増えている。監視委としての対処方針は。

「どの空売りファンドが問題なのかは申し上げないが、リポート内容に金商法上問題があるかどうか、われわれは監視すべき義務がある。法令違反があれば適切に対処する」

――不適切な空売りファンドを規制するには、現行法では限界だとの指摘も専門家から出ている。

「現時点で規定が不十分だとか、何か(立法)対応が必要だとは承知していない」

(和田崇彦 編集:田巻一彦)

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