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不具合の787型機エンジン、全機の部品交換には2―3年必要=ANA

2016年08月30日(火)22時29分

 8月30日、ANAホールディングス傘下の全日本空輸は30日、不具合発生の恐れが出ている米ボーイング787型機のエンジン部品取り替えについて、現在保有している50機すべてに改修された部品を取りつけるには2-3年が必要との見通しを発表した。写真は千歳空港で2012年7月撮影(2016年 ロイター/Issei Kato)

[東京 30日 ロイター] - ANAホールディングス傘下の全日本空輸は30日、不具合発生の恐れが出ている米ボーイング787型機のエンジン部品取り替えについて、現在保有している50機すべてに改修された部品を取り付けるには2-3年が必要との見通しを発表した。作業開始は改修部品が届く来年1月からで、対象となるエンジン100台(1機あたり2台)すべてに改修部品を付け終わるのは2019年末になる見込み。

不具合を起こしたエンジンは英ロールスロイス製。今年2月と3月に国際線で、今月20日には国内線で飛行中にエンジンの異常振動を示す表示が出て引き返す事態が起きた。

3月のトラブル発生を受けて全日空とロールスロイスが調査したところ、エンジンに取り込む空気を圧縮する中圧タービンのブレード(羽根)部分が腐食、破断していた。飛行時間や大気中の汚染によって腐食が進み、亀裂が生じるという。

全日空は安全確保のためブレードの交換頻度を増やし、今後は1年半から2年半に1度、国際線で1250―1450回、国内線で4200―4400回の飛行回数ごとにブレードを交換する計画。

30日会見した全日空整備センターの菊池武夫・副センタ―長によると、ロールスロイス側は同機種の中圧タービンブレードで起きた不具合の原因を特定済みで、ブレードのデザインに問題があったことを認めているという。 ロールスロイスのウォーレン・イースト最高経営責任者(CEO)は同日、ベルリンでロイターの取材に対し、「対応できる問題」との認識を示した。

改修部品が届く来年1月までは、安全上問題のない現行型の新品に交換することで対応可能だが、それに伴い国内線のみ一部欠航が出る。8月中は26日以降に計18便が欠航、約5400人が影響を受け、約8200万円の減収になる見込み。9月中については機材繰りができたため15日までは欠航はないとしている。

787型機をめぐっては、30日午後にも成田発ムンバイ行きの全日空829便がエンジンの異常振動を示す表示が出て成田空港に引き返した。原因はまだ特定されていないが、今回のトラブルは「タービンブレードが原因ではないことが確認された」(全日空広報)という。

*内容を追加します。

(白木真紀 編集:内田慎一)

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