ニュース速報

ビジネス

ジャクソンホール会合、景気押し上げへ政府の対策必要と各国中銀

2016年08月28日(日)12時54分

 8月27日、米カンザスシティー地区連銀が主催した経済シンポジウムでは、米連邦準備理事会(FRB)、欧州中央銀行(ECB)、日銀の当局者から景気押し上げには金融政策だけでなく、政府による大胆な対策も必要との声がきかれた。写真はクーレECB専務理事、フランクフルトで2014年2月撮影(2016年 ロイター/Ralph Orlowski)

[ジャクソンホール(米ワイオミング州) 27日 ロイター] - 米カンザスシティー地区連銀が主催した経済シンポジウムでは、米連邦準備理事会(FRB)、欧州中央銀行(ECB)、日本銀行の当局者から景気押し上げには金融政策だけでなく、政府による大胆な対策も必要との声がきかれた。

27日のシンポジウムでは、インフレや景気への見通しの低迷が欧州や日本でのインフレ目標達成を難しくしているとの見方が示された。

ECBのクーレ専務理事は、インフレ期待が高すぎたり低すぎたりしないようにECBは努力しているが、欧州各国政府の経済改革ペースが遅いためこの努力が阻害されていると指摘。「2007年以降の構造改革は中途半端で、インフレ期待の押し上げに寄与せず、ディスインフレ見通しを促進している」と述べた。

日銀の黒田東彦総裁は、潜在成長率の押し上げに向け移民の受け入れなどを含め、政治的に難しい問題について定期的な安倍首相との会合で話していると語った。

FRBのイエレン議長も26日の講演で、最後のページを景気押し上げにむけた財政政策や構造改革に割いた。

今回のシンポジウムでは財政政策は正式議題ではないが、討議ではたびたび言及された。各国の企業や個人が、中銀が想定するような経済成長やインフレを見込んでいないことが中銀にとっては懸念となっている。

黒田総裁は、家計の見通しが改善しておらず、日銀は引き続き努力を続けるとしたうえで「日本のインフレ動態は引き続き弱い」とし、2%の物価上昇率目標に「長期インフレ期待はまだアンカーされていない」と述べた。

プリンストン大学のシムズ教授はシンポジウムでの講演で、将来のインフレ見通しを得るためには大規模な施策が必要との見解を示し、「財政拡大が効果のない金融政策の代替になり得る。インフレを生みだすことを目的に、そして条件づけた赤字が必要だ。将来の税や歳出削減ではなく、インフレによって赤字はファイナンスされなければならない」と述べた。

※英文参照番号[nL1N1B80E4](契約の内容によっては英文がご覧いただけない場合もあります)

ロイター
Copyright (C) 2016 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

香港ドルの米ドルとのペッグ制、変更は不要=香港金融

ワールド

中国、インフル流行に緩和の兆し 呼吸器感染症は依然

ビジネス

アングル:トランプ氏の関税公約で注目集める5つの市

ビジネス

生活必需品の安定供給が経済安保の一環、セブン買収巡
MAGAZINE
特集:中国の宇宙軍拡
特集:中国の宇宙軍拡
2025年1月14日号(1/ 7発売)

軍事・民間で宇宙覇権を狙う習近平政権。その静かな第一歩が南米チリから始まった

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「涙止まらん...」トリミングの結果、何の動物か分からなくなったペットの姿にネット爆笑【2024年の衝撃記事 5選】
  • 2
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるようになる!筋トレよりもずっと効果的な「たった30秒の体操」
  • 3
    装甲車がロシア兵を轢く決定的瞬間...戦場での衝撃映像に「弾薬が尽きていた」とウクライナ軍
  • 4
    「戦死証明書」を渡され...ロシアで戦死した北朝鮮兵…
  • 5
    仮想通貨が「人類の繁栄と自由のカギ」だというペテ…
  • 6
    トランプさん、グリーンランドは地図ほど大きくない…
  • 7
    「ポケモンGO」は中国のスパイ? CIAの道具?...大人…
  • 8
    大河ドラマ『べらぼう』が10倍面白くなる基礎知識! …
  • 9
    中国でインフルエンザ様の未知のウイルス「HMPV」流…
  • 10
    いち早く動いたソフトバンク...国内から「富の流出」…
  • 1
    「戦死証明書」を渡され...ロシアで戦死した北朝鮮兵の遺族を待つ運命とは? 手当を受け取るには「秘密保持」が絶対
  • 2
    「涙止まらん...」トリミングの結果、何の動物か分からなくなったペットの姿にネット爆笑【2024年の衝撃記事 5選】
  • 3
    中国でインフルエンザ様の未知のウイルス「HMPV」流行の懸念
  • 4
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 5
    ロシア軍は戦死した北朝鮮兵の「顔を焼いている」──…
  • 6
    装甲車がロシア兵を轢く決定的瞬間...戦場での衝撃映…
  • 7
    仮想通貨が「人類の繁栄と自由のカギ」だというペテ…
  • 8
    ザポリージャ州の「ロシア軍司令部」にHIMARS攻撃...…
  • 9
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 10
    「日本製鉄のUSスチール買収は脱炭素に逆行」買収阻…
  • 1
    大腸がんの原因になる食品とは?...がん治療に革命をもたらす可能性も【最新研究】
  • 2
    夜空を切り裂いた「爆発の閃光」...「ロシア北方艦隊」の基地で発生した大爆発を捉えた映像にSNSでは憶測も
  • 3
    インスタント食品が招く「静かな健康危機」...研究が明らかにした現実
  • 4
    ロシア軍は戦死した北朝鮮兵の「顔を焼いている」──…
  • 5
    TBS日曜劇場が描かなかった坑夫生活...東京ドーム1.3…
  • 6
    「戦死証明書」を渡され...ロシアで戦死した北朝鮮兵…
  • 7
    「腹の底から笑った!」ママの「アダルト」なクリス…
  • 8
    ロシア兵「そそくさとシリア脱出」...ロシアのプレゼ…
  • 9
    「涙止まらん...」トリミングの結果、何の動物か分か…
  • 10
    ミサイル落下、大爆発の衝撃シーン...ロシアの自走式…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中