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アングル:中国で人気高まる韓国製「ファスト・コスメ」
[ソウル 4日 ロイター] - 次から次へと新製品が発売される韓国の化粧品市場で、中国人の消費が伸びている。今や、中国が輸入する韓国製化粧品の規模はフランスに次ぎ2位となった。外資も中国進出を視野に、韓国化粧品メーカーへの出資に意欲的だ。
ソウル中心部の化粧品店では中国人観光客の姿が目立つ。韓国の化粧品ブランド「Innisfree(イニスフリー)」店で予算以上の買い物をした中国人観光客の女性は「豊富な品ぞろえのなかから好きなものを選べる」と満足そうに語った。この店では約900以上の商品を揃えている。
イニスフリーは、韓国の化粧品大手アモーレパシフィック<002790.KS>が手掛ける自然派化粧品ブランド。毎年約400の製品を発売するが、その約半分は1年後には別の製品と入れ替わっている。
中国などアジア各国の若者の間では「ファスト・ビューティー」志向が高まっており、そうした需要に応えるため、アモーレパシフィックを始め韓国の化粧品各社は製品サイクルの短縮化に取り組んでいる。
最新の流行を取り入れ、低価格に抑えた衣料品を短いサイクルで大量生産して販売する「ファスト・ファッション」。今韓国ではその化粧品版「ファスト・コスメ」がブームだ。
小規模のメーカーは、生産委託企業で製品テスト期間を短縮するなどして開発を急ぎ、競って市場に製品を投入している。
業界専門家によると、韓国の化粧品ブランドの商品開発サイクルは最短で4カ月。一方、海外ブランドは1年以上だ。
化粧品メーカーから生産を請け負うコスマックス<192820.KS>のディレクター、Lim Dae-gyu氏は「2004年に外資の大手メーカーからアイシャドーの受注を受けた時は生産開始に2年かかったが、今は1年だ」と述べ、さらに「韓国の大衆向け化粧品では、計画から発売までたったの4─6カ月だ」と語った。
<中国向け輸出はフランスに次ぎ2位>
韓国政府によると、韓国の中国向け化粧品輸出は昨年11億ドルを記録。米国と日本を追い抜き、フランスに次ぎ2位となった。
昨年の化粧品輸出総額は25億9000万ドルで前年から44%増加。輸出先は中国が断然トップで、香港、米国と続く。
化粧品販売は、中国人観光客が大量の買い物をする免税店で特に好調だ。税関データによると、今年上半期の免税店売上高は過去最高の5兆8000億ウォン(51億ドル)を記録。その約半分は化粧品だ。
一方で、化粧品が非正規ルートを通じて海外で再販されるという問題も出ており、当局は免税店で購入できる化粧品の数を50に制限することを検討している。この措置が導入されれば、小規模メーカーの販売は大きな打撃を受ける、とアナリストは指摘する。
<トレンドセッター>
国内業界団体のJang Jun-kee氏は「韓国の化粧品業界では、新素材や成分、目新しいパッケージを使った製品が次々と発売される。ヒット商品が出れば他の国内ブランドがすぐに反応する」と語った。
アモーレパシフィックの「クッション・コンパクト」は、リキッド系のファンデーションや下地などをスポンジにしみ込ませたファンデーションで、2008年に大ヒットした。その後、ロレアル
LGハウスホールド・アンド・ヘルスケア<051900.KS>の人気化粧品ブランド「The face shop(ザフェイスショップ)」のディズニーキャラクターのクッションファンデは2日間で13万個売れた。同ブランドは、今年約600の新商品を発売するという。
韓国の化粧品メーカーは、大ブームとなった「BBクリーム」や「CCクリーム」など、トレンド製品をうまく開発している。また、花や紅茶の葉などの天然素材の他、ロバのミルクやカタツムリの粘液など、一風変わった成分配合するなどして、他の化粧品との差別化を図っている。
ロレアルの韓国部門担当者は「韓国の化粧品は非常に洗練されいる。韓国人の美への関心や化粧品への期待度は非常に高く、新たなコンセプトを積極的に試してみようとする。韓国でまず新しいトレンドが生まれ、それが世界に広がる傾向がある」と語った。
<中国進出を視野に韓国企業へ出資>
外資企業にとり、韓国企業への出資で中国進出を果たすことは手っ取り早い方法かもしれない。
フランス高級ブランドLVMH(モエ・ヘネシー・ルイ・ヴィトン)
韓国国営の貿易投資振興機関である大韓貿易投資振興公社(KOTRA)によると、韓国のコスメ商品は、中国国内だけでなく、LVMH傘下の化粧品チェーン店セフォラや米小売りのターゲット
Lキャピタル・アジアがクリオへの出資を発表したのほんの数週間前には、米金融大手ゴールドマン・サックス
(Joyce Lee記者 翻訳:伊藤恭子 編集:加藤京子)