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2%物価目標2年で達成できなかったが、早期実現変えず=日銀総裁

2016年06月20日(月)20時11分

 6月20日、黒田日銀総裁は都内で講演し、量的・質的金融緩和の導入当初に約束した2年程度での物価2%は達成できなかったとしながらも、今後も早期に目標を実現するとのコミットメントを変える必要はないとの認識を示した。写真は16日撮影(2016年 ロイター/Thomas Peter)

[東京 20日 ロイター] - 黒田東彦日銀総裁は20日、都内で講演し、量的・質的金融緩和(QQE)の導入当初に約束した2年程度での物価2%は達成できなかったとしながらも、今後も早期に目標を実現するとのコミットメントを変える必要はないとの認識を示した。

2013年4月のQQE導入から3年余りが経過したが、総裁は、物価2%目標を当初見込んだ「2年程度で達成することはできなかった」と認めた。

一方で、導入当初に「2年程度の期間を念頭に置いて、できるだけ早期に実現する」との強いコミットメントを示し、大規模な国債買い入れを中心としたQQEを推進してきたことで「デフレという状況ではなくなったというところまで来た」とし、「プラス効果はあった。やはり強いコミットメントが必要だった」と評価した。

足元の消費者物価指数(生鮮食品を除く、コアCPI)の前年比上昇率がゼロ%程度と低迷する中、「2%の物価安定目標の実現は道半ば」とし、「今後とも、できるだけ早期に2%の物価安定目標を実現するとのコミットメントは変えるつもりはないし、変える必要もない」と強調した。

これまでの日銀の金融政策はサプライズを狙ったものではないかとの指摘に対し、経済の実情や見通しを踏まえ、必要ならちゅうちょなく追加緩和措置を講じるという「あくまで政策反応関数を示している」と主張。

そのうえで「いつ何をするかということは、金融政策の本質上、事前に示すことは適当ではない」とし、「サプライズを狙って金融政策をしていることはない」と語った。

金融政策の有効性確保には「民間部門が予想していないショックを与えることではなく、一貫性・予見可能性の高い政策対応を継続していくことが重要」としたが、「現実的には、さまざまな不確実性が存在している。あらかじめ政策オプションを提示しておくことは難しい面がある」との認識も示した。

また、主要先進国では、長期停滞論(Secular Stagnation)のように「さまざまな要因によって定常状態そのものが、下方シフトしている可能性について活発に議論されている」ことを紹介。日本でも「潜在成長率の低下とともに、景気に中立的な自然利子率も、低下傾向をたどっていたと考えられる」と語った。

自然利子率が恒常的に低下すれば、実質金利低下による経済活動の刺激が弱まり、「金融政策の有効性が大きく低減する」ほか、潜在成長率の低下によって所得予想が低下する「負の所得効果」が生じれば、「経済活動の下押し圧力が生じることも考えられる」と指摘。定常状態をめぐる不確実性と金融政策運営の関係は「各国中央銀行が共通している課題」との見解を示した。

(伊藤純夫 編集:田巻一彦)

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