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米財務省、税逃れ「インバージョン」で新措置 ファイザーが精査へ
4月4日、米国の財務省と内国歳入庁は、米企業による外国法人を利用した税逃れ行為「インバージョン」を抑制するための新たな措置を発表した。ルー米財務長官、香港で先月撮影(2016年 ロイター/Bobby Yip)
[ワシントン 4日 ロイター] - 米財務省は4日、税率の低い国へ本社を移転する税逃れ行為「インバージョン」を抑制するための新たな措置を発表した。
この発表を受け、米製薬大手ファイザー
両社は財務省の発表文を精査していると表明。「精査を終える前に影響に関するいかなる推測もしない」とした。
インバージョンでは通常、米国企業がより小規模な外国企業を買収した後に本社を買収先に移転。節税目的に納税地を変更するものの、主要な事業や経営陣は米国内にとどまる。
ルー財務長官は今回の措置がインバージョン行為をさらに押さえつけるだろうとしつつ、議会での立法のみがこうした行為を防ぐことができると指摘した。
オバマ大統領は議会に繰り返し行動を求めているが、成果を得られないままとなっている。大統領は4日、あらためて議会に立法を求める一方、財務省の新たな措置を歓迎した。
財務省声明によると、最近のインバージョン行為に関し、所有権にかかる要件を回避するために大量の米国資産を抱えた外国企業に3年間の制限を課す。
外国企業が所有権に関する米国の現行制限を順守しながらインバージョンを行う手段として、複数の米国企業を株式に基づく取引で買収して企業規模を拡大するケースがあるが、今回の措置はこうした手段を防ぐことになるという。
財務省はまた、インバージョンに続いて行われることが多い「利益剥がし」として知られる慣行に取り組むためのルールを提案すると表明した。
利益剥がしは、多国籍企業が米国での課税利益を縮小させるために行う幅広い金融取引を指す。よく見られる手法としては、新たに登記した外国企業の米国子会社に債務を積み上げ、税率の低い海外の新たな納税地に利払いの形で米国利益を移転することが挙げられる。
財務省の新たなルールでは、米国子会社にかかる関連債務に新たな制限を課す。
同省は昨年11月、ファイザーのアラガン買収発表を受け、米国企業が第三国に新たな海外本社を設けることや、インバージョン後の所有権制限を順守するために資産を海外本社に「詰め込む」ことをそれぞれ制限するインバージョン規制に乗り出していた。
今回の新措置をめぐっては、少なくとも1つの業界団体が反発している。
外国企業を代弁する国際投資機構(OFII)のチーフ・エグゼクティブ、ナンシー・マクレモン氏は声明で「財務省の措置は全ての外国企業にとって米国における投資・事業拡大費用を増やすものであり、米国に対する海外直接投資に支えられた1200万人超の米国人労働者をリスクにさらすだろう」と指摘した。
*内容を追加します。