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3月米雇用・賃金ともに増加、FRBは慎重姿勢維持か
4月1日、3月の米雇用統計は、非農業部門雇用者数が21万5000人増えた。写真はデンバーの就職フェア会場で2013年4月撮影(2016年 ロイター/Rick Wilking)
[ワシントン 1日 ロイター] - 米労働省が発表した3月の米雇用統計は、非農業部門雇用者数が21万5000人増となり、予想の20万5000人増を幾分上回った。時間当たり賃金も増加に転じ、米経済の底堅さを浮き彫りにした。
だが労働人口も増加したことで加速の兆候が出始めていた賃金の伸びが抑制される可能性があり、米連邦準備理事会(FRB)は利上げに対し慎重姿勢を維持するとみられている。
雇用の増加ペースは幾分鈍化。第4・四半期は平均で月間28万2000人の増加ペースとなっていた。
1・2月分は計1000人下方修正された。
力強い内容となった雇用統計だが、目先の金融政策への影響は限定的とみられている。労働人口の増加は、労働市場にはまだ隠れた緩みが残っているとするイエレンFRB議長の考えを裏付けるためだ。
TD証券(ニューヨーク)の副チーフエコノミスト、ミラン・ムルレーン氏は「これはFRBにとって理想的な状況」と指摘。「労働人口の増加が、雇用引き締まりによる賃金インフレ高進の懸念を和らげており、力強い雇用の伸びの影響が相殺されている」とした。
時間当たり賃金は前月比0.3%(0.07ドル)、前年同月比2.3%それぞれ増加した。エコノミストによると、インフレ率がFRBの目標である2%に到達するには、時間当たり賃金が3─3.5%の伸びとなる必要がある。
失業率は5.0%と、8年ぶりの低水準だった前月の4.9%から悪化したものの、労働参加率の上昇を反映しており、心強い兆候となる。市場予想は4.9%だった。
労働参加率は63%と、前月の62.9%から上昇し、2014年3月以来の高水準となった。62.4%まで低下した昨年9月からは0.6%ポイントの上昇。人数にして約240万人が労働人口に加わり、6カ月間における伸びとしては過去2番目の大きさとなった。労働参加率は男女問わず、ほぼすべての年齢層で上昇した。
就業率は59.8%から59.9%に上昇、7年ぶりの高水準を記録した。
より広義の失業を示すU─6失業率は9.8%と、約7年半ぶりの低水準となっていた2月の9.7%から悪化した。
FRBが海外リスクへの配慮を強める中、今回の雇用統計による金融政策への影響は限定的とみられる。
ナショナル・アソシエーション・オブ・フェデラル・クレジット・ユニオンズ(NAFCU)の首席エコノミスト、カーティス・ロング氏は「雇用統計は好調だったが、FRBの政策スタンスに変更をもたらすことない。今週のイエレンFRB議長の発言を踏まえると、FRBは雇用以外に注目していると考える」と語った。
米雇用統計の発表を受け、米債価格と短期金利先物がそろって下落。ドルは主要通貨バスケットに対し上昇、米株価は小幅安となった。
3月の雇用は幅広い業種で増加したものの、製造業は2万9000人減少し、2009年12月以来の大幅減となった。製造業部門で安定化の兆しがみられる中での減少となった。
鉱業は1万2000人減。ピークをつけた2014年9月以降、18万5000人の雇用が失われている。
建設は9カ月連続で増加し、3万7000人増。小売も4万7700人増と好調。
政府は2万人増だった。
*内容を追加して再送します。