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米経済の拡大は総じて続く、状況はまだら模様=地区連銀経済報告

3月2日、FRB公表の地区連銀経済報告では、米経済は大半の地区で引き続き拡大したが、状況には著しい開きがあるとの認識が示された。写真はFRB建物。1月26日撮影。(2016年 ロイター/Jonathan Ernst)
[ワシントン 2日 ロイター] - 米連邦準備理事会(FRB)が公表した地区連銀経済報告(ベージュ・ブック)では、1月初旬から2月下旬にかけて米経済活動は大半の地区で引き続き拡大したものの、地域やセクター内で状況には著しい開きが見られたとの認識が示された。
今月15、16の両日には今後の金利動向を決める連邦公開市場委員会(FOMC)が開かれるが、報告で描かれた米経済の姿は決定的にまちまちで、政策当局者の頭を悩ませることになりそうだ。
報告によると、消費支出は過半数の地区で増加した。ドル高やエネルギー分野の需要の弱さ、悪化する世界経済の見通しが重しとなる中、製造業の活動は横ばいだった。
昨年12月の利上げに踏み切った後、FRBはこれまで追加の金利引き上げを見送っている。世界経済の減速や金融環境のひっ迫、インフレ期待の低下が米経済に及ぼす影響を見極めるため、FRBは今月も利上げをしない可能性が高い。
報告によると、労働市場の状況は改善を続けたが、賃金の伸びには地区によって「大きな差があった」とされた。自動車販売も水準は高かったものの、その内容には「著しい違いがあった」とされた。消費者物価は総じて横ばいだった。
FRBは昨年12月の段階で、2%の物価目標達成に向けた明らかな前進があることを、追加利上げの条件の一つとしていた。
クリーブランドやボストン、シカゴの各地区の調査先は、市場の乱高下を警戒した消費者が支出を手控えるようになったと報告。ボストンとシカゴの両地区は、ガソリン安の恩恵を受けているにもかかわらず消費支出が伸びないことに「失望」を表明した。
シカゴ連銀は「世界経済の減速に対する懸念は株価の下落や資産担保証券のスプレット拡大、金融市場の不透明感の増大を招いた」とも指摘した。ダラス連銀も市場と金融政策に関する先行き不透明感が「2016年の経済成長の見通しに対する懸念をもたらした」とした。
融資基準は大半の地区で変化がなかったとされた。フィラデルフィア連銀は基準が若干引き締まったと報告。特にエネルギー関連産業に対して、そうした変化がみられたとした。
賃金が総じて上昇したことは、FRBにとって明るい兆しといえる。セントルイス連銀は過去2年で最も大幅な賃金の伸びだと報告した。ただ、他のいくつかの地区は賃金上昇圧力が弱まっているとした。
今回のベージュブックはカンザスシティー連銀が2月22日より前の情報を基にまとめた。
*内容を追加しました。