ニュース速報

ビジネス

中国、預金準備率を50bp引き下げ 景気支援へ緩和サイクル再開

2016年02月29日(月)23時37分

 2月29日、中国人民銀行(中央銀行)は銀行の預金準備率の引き下げを発表した。引き下げは2015年2月以降で5回目。写真は北京の中国人民銀行本部。1月撮影(2016年 ロイターS/Kim Kyung-Hoon)

[北京 29日 ロイター] - 中国人民銀行(中央銀行)は29日、全銀行を対象に預金準備率を50ベーシスポイント(bp)引き下げると発表した。引き下げは2015年2月以降で5回目。緩和サイクルを再開し、過剰生産能力に苦しむ企業の破綻や失業による経済への打撃を和らげるため1000億ドル相当の長期資金を供給する。

ウェブサイトによると、最大手行の預金準備率は17%となる。実施は3月1日から。

前回の預金準備率引き下げは10月23日で、25bpの利下げに合わせて行われた。

先週には公開市場操作による継続的な資金供給にもかかわらず、短期金融市場のひっ迫が増大。株式投資家の心理が悪化し、さらなる株急落を招いた経緯がある。

人民銀はこれまで、預金準備率引き下げによる長期資金の供給ではなく日々の短期資金供給を通じて流動性を維持する方針を示しており、今回の引き下げは一部で意外感を持って受け止められた。

ナティクシス・アジア・リサーチ(香港)のシニアエコノミスト、アイリス・パン氏は「国内銀行セクターの流動性を緩和したい人民銀の積極的な意図が反映されている」と話す。

今回の引き下げにより、同氏は与信拡大に向け銀行システムに6890億元(1050億ドル)の資金が供給されると推測。ANZ銀行は約6500億元との試算を示した。

エコノミストはまた、預金準備率の引き下げによる人民元相場の下落圧力や通貨安に伴う資本流出の加速を当局がそれほど懸念していないことを示していると分析する。

キャピタル・エコノミクス(ロンドン)のマーク・ウィリアムズ氏は、人民銀は一段の預金準備率引き下げは人民元相場を下押しするとの懸念を示していたが、今回引き下げに踏み切ったことは「もはや圧力がそれほど強くないか、最近のひっ迫を受けて方針を転換したかのいずれかを示唆している」と述べた。

人民銀は預金準備率の引き下げについて、持続可能な成長実現に向けて政府が推進している「供給サイドの改革」を後押しするような、適切な金融環境を整備する一助となると説明した。

申銀万国証券(上海)のエコノミスト、李慧勇氏は「中国政府は供給サイドの改革を推し進めており、そのためには誰かがそのコストを支払う必要がある。緩和的な金融環境はわれわれが必要としているものだ」と述べた。その上で、人民銀行は景気を支援するため、今年緩和的な政策スタンスを維持するとの見方を示した。

*内容を追加して再送します。

ロイター
Copyright (C) 2016 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

ウクライナ、米の支援なしで存続できる可能性「低い」

ワールド

焦点:人材こそ資源、労働力輸出で経済活性化を狙うア

ワールド

米、4月2日めどに自動車関税 トランプ大統領表明

ビジネス

台湾TSMC、インテル工場運営を検討 米政権の要請
MAGAZINE
特集:ガザ所有
特集:ガザ所有
2025年2月18日号(2/12発売)

和平実現のためトランプがぶち上げた驚愕の「リゾート化」計画が現実に?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ...犠牲者急増で、増援部隊が到着予定と発言
  • 2
    週に75分の「早歩き」で寿命は2年延びる...スーパーエイジャーが実践する「長寿体質」の習慣
  • 3
    墜落して爆発、巨大な炎と黒煙が立ち上る衝撃シーン...ロシア攻撃機「Su-25」の最期を捉えた映像をウクライナ軍が公開
  • 4
    「精緻で美しい奇跡」ノーベル賞作家ハン・ガン『別…
  • 5
    イスラム×パンク──社会派コメディ『絶叫パンクス レ…
  • 6
    「映画づくりもアルゴリズムの言いなりに...」アカデ…
  • 7
    「健康寿命」を延ばすのは「少食」と「皮下脂肪」だ…
  • 8
    36年ぶりの「絶頂シーン」...メグ・ライアンの「あえ…
  • 9
    身元特定を避け「顔の近くに手榴弾を...」北朝鮮兵士…
  • 10
    右胸が丸出し...クリッシー・テイゲンの入浴写真にネ…
  • 1
    「健康寿命」を延ばすのは「少食」と「皮下脂肪」だった...スーパーエイジャーに学ぶ「長寿体質」
  • 2
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ...犠牲者急増で、増援部隊が到着予定と発言
  • 3
    メーガン妃の最新インスタグラム動画がアメリカで大反発を買う...「イメージアップを図るため」
  • 4
    2025年2月12日は獅子座の満月「スノームーン」...観…
  • 5
    iPhoneで初めてポルノアプリが利用可能に...アップル…
  • 6
    【徹底解説】米国際開発庁(USAID)とは? 設立背景…
  • 7
    研究者も驚いた「親のえこひいき」最新研究 兄弟姉…
  • 8
    極めて珍しい「黒いオオカミ」をカメラが捉える...ポ…
  • 9
    「だから嫌われる...」メーガンの新番組、公開前から…
  • 10
    【一発アウト】税務署が「怪しい!」と思う通帳とは?
  • 1
    週刊文春は「訂正」を出す必要などなかった
  • 2
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 3
    【一発アウト】税務署が「怪しい!」と思う通帳とは?
  • 4
    有害なティーバッグをどう見分けるか?...研究者のア…
  • 5
    「健康寿命」を延ばすのは「少食」と「皮下脂肪」だ…
  • 6
    1日大さじ1杯でOK!「細胞の老化」や「体重の増加」…
  • 7
    失礼すぎる!「1人ディズニー」を楽しむ男性に、女性…
  • 8
    世界初の研究:コーヒーは「飲む時間帯」で健康効果…
  • 9
    戦場に「杖をつく兵士」を送り込むロシア軍...負傷兵…
  • 10
    「DeepSeekショック」の株価大暴落が回避された理由
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中