ニュース速報

ビジネス

アングル:アマゾン、ウーバー方式で一般ドライバーに配送委託

2016年02月19日(金)13時25分

 2月19日、米オンライン小売り大手アマゾン・ドット・コムは、最近導入した近隣にいる一般ドライバーに急ぎの配送を委託する仕組みを拡大し、通常の商品宅配にも取り入れようとしている。写真は同社のロゴ。バンガロールで昨年8月撮影(2016年 ロイター/Abhishek N. Chinnappa)

[サンフランシスコ 17日 ロイター] - 米オンライン小売り大手アマゾン・ドット・コムは、最近導入した近隣にいる一般ドライバーに急ぎの配送を委託する仕組みを拡大し、通常の商品宅配にも取り入れようとしている。低価格とぎりぎりの営業利益率で知られる同社の狙いは、配送時間を一段と短縮し、拡大し続ける物流コストを抑え込むことだ。

昨年始めた「アマゾンフレックス(Amazon Flex)」は、米配車サービス「ウーバー」方式で、近隣にいる一般ドライバーに委託して商品を素早く配送する仕組み。年会費99ドルの有料会員サービス専用の携帯アプリ「プライムナウ(Prime Now)」を通じて注文された家庭用品をスピーディーに届ける手段となっている。

フレックスの契約ドライバーは専用アプリで希望のシフトを登録し、アマゾンの巨大な配送センターではなく、都市部に近い小型倉庫で荷物をピックアップして顧客の玄関に届けることになっている。

現在はシアトル、ラスベガス、フェニックス、ダラスなど14の都市でこの仕組みが運用されている。

テキサス州北部に住む3人の契約ドライバーはロイターに対し、同社からここ数週間に電子メールを受け取り、「プライムナウ」向けだけでなく、アマゾン・ドットコムで注文された通常の宅配商品も取り扱うよう勧誘されたと語った。

ロイターが入手した電子メールによると、アマゾンは「この新しい配送の流れは、新たなビジネスチャンスになる」と説明している。ドライバーは「中型セダン以上の」4ドアの自動車を持っていることが条件で、時給18─25ドルの報酬が得られるとしている。

アマゾンの広報担当者は17日、既にテキサス州ではフレックスのドライバーが「プライムナウ」に限定せず、ネット通販で注文された荷物を運んでいることを認めた。

同社の経営幹部は、決算に関する最近の電話会議で、これまで取引してきた配送会社に取って代わるものではなく、ピーク時の配送を制御する方法を模索していると説明した。

業界アナリストは、計画がうまく機能すれば、アマゾンの輸送コストを抑えるのに効果があるとの見方を示す。同社の輸送コストは昨年18%以上増え、115億ドルに達した。

またこの動きは、アマゾンが物流網へのコントロールを強化する計画の一環とみられる。契約ドライバーのネットワークによる商品配送が増えれば、サプライチェーンを掌握する力が高まるからだ。

巨大な物流ネットワークを構築することで、現在アマゾンの商品を運んでいる大手配送会社のユナイテッド・パーセル・サービス(UPS)やフェデックス、各地の運送会社と競合するようになる可能性もある。

配送の「ラストマイル」は、小売業者から購入者に届くまでの道程で最もコストの高い部分とされており、消費者がより安くより迅速に商品が届くことを期待する中で一段と重要性が増している。

ロジスティクス技術企業、グランド・ジャンクションのロブ・ハワード最高経営責任者(CEO)は、地域の小規模な運送会社は平均で配送料の35%を要求すると指摘。新しい仕組みは「アマゾンにとって競争上大きな優位性をもたらす」と述べた。

(斎藤真理記者 翻訳:長谷川晶子 編集:加藤京子)

ロイター
Copyright (C) 2016 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

独BMW、関税戦争が業績10億ユーロ下押しへ 24

ワールド

プーチン氏がトランプ氏に伝言、「慎重な楽観主義」あ

ビジネス

独2月CPI改定値、前年比+2.6%へ減速 ECB

ビジネス

伊ウニクレディトの独コメルツ銀株取得、ECBが予想
MAGAZINE
特集:日本人が知らない 世界の考古学ニュース33
特集:日本人が知らない 世界の考古学ニュース33
2025年3月18日号(3/11発売)

3Dマッピング、レーダー探査......新しい技術が人類の深部を見せてくれる時代が来た

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦している市場」とは
  • 2
    「若者は使えない」「社会人はムリ」...アメリカでZ世代の採用を見送る会社が続出する理由
  • 3
    【クイズ】世界で1番「石油」の消費量が多い国はどこ?
  • 4
    【クイズ】アメリカを貿易赤字にしている国...1位は…
  • 5
    【クイズ】ウランよりも安全...次世代原子炉に期待の…
  • 6
    白米のほうが玄米よりも健康的だった...「毒素」と「…
  • 7
    SF映画みたいだけど「大迷惑」...スペースXの宇宙船…
  • 8
    「紀元60年頃の夫婦の暮らし」すらありありと...最新…
  • 9
    113年間、科学者とネコ好きを悩ませた「茶トラ猫の謎…
  • 10
    うなり声をあげ、牙をむいて威嚇する犬...その「相手…
  • 1
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやステータスではなく「負債」?
  • 2
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦している市場」とは
  • 3
    【クイズ】アメリカを貿易赤字にしている国...1位は中国、2位はメキシコ、意外な3位は?
  • 4
    メーガン妃が「菓子袋を詰め替える」衝撃映像が話題…
  • 5
    白米のほうが玄米よりも健康的だった...「毒素」と「…
  • 6
    うなり声をあげ、牙をむいて威嚇する犬...その「相手…
  • 7
    「これがロシア人への復讐だ...」ウクライナ軍がHIMA…
  • 8
    テスラ離れが急加速...世界中のオーナーが「見限る」…
  • 9
    【クイズ】ウランよりも安全...次世代原子炉に期待の…
  • 10
    「若者は使えない」「社会人はムリ」...アメリカでZ…
  • 1
    テスラ離れが急加速...世界中のオーナーが「見限る」ワケ
  • 2
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 3
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」だった?...高濃度で含まれる「食べ物」に注意【最新研究】
  • 4
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやス…
  • 5
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦してい…
  • 6
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される…
  • 7
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ.…
  • 8
    【クイズ】アメリカを貿易赤字にしている国...1位は…
  • 9
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン…
  • 10
    「健康寿命」を延ばすのは「少食」と「皮下脂肪」だ…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中