ニュース速報

ビジネス

トヨタ、今期純利益200億円上積み 生産休止の影響織り込まず

2016年02月05日(金)19時29分

 2月5日、トヨタ自動車は、2016年3月期通期の連結業績予想(米国会計基準)について、売上高と営業利益は従来のまま据え置き、3年連続で過去最高を見込んでいた純利益をさらに200億円積み増した。写真は都内で撮影(2016年 ロイター/Toru Hanai )

[東京 5日 ロイター] - トヨタ自動車<7203.T>は5日、2016年3月期通期の連結業績予想(米国会計基準)について、売上高と営業利益は従来のまま据え置き、3年連続で過去最高を見込んでいた純利益をさらに200億円積み増した。中国事業の改善を反映した。

ただ、愛知製鋼の工場爆発事故に伴う車両生産休止の影響は織り込んでいない。大竹哲也常務役員は決算会見で「現時点で業績への影響を見積もることは困難」と述べた。

通期純利益予想は前期比4.4%増の2兆2700億円(従来は2兆2500億円)。トムソン・ロイターの調査によるアナリスト26人の予測平均値は2兆4130億円で、会社側の修正予想はこれを下回る。大竹氏は純利益の上振れ要因である中国事業について、以前は販売が伸びても価格が低迷するなどで収益が厳しかったが、過剰生産しないなどといった「オペレーションの徹底により、収益性が上がってきている」と述べた。

通期の売上高は同1.0%増の27兆5000億円、営業利益は同1.8%増の2兆8000億円と過去最高を見込む。通期の想定為替レートは1ドル=120円(従来118円)、1ユーロ=132円(同133円)に見直した。中国合弁企業などを含む世界販売計画は従来の1000万台から1005万台に引き上げた。好調な北米では従来から2万台増やし、287万台を見込む。

15年4―12月期連結決算では売上高、純利益がともに過去最高を更新。営業利益も前年同期比9.0%増の2兆3056億円と過去最高だった。ただ、同年10―12月期は同5.3%減の7222億円と、四半期ベースでは14年1―3月期以来の営業減益となった。北米を除く主な市場で販売が減少。対ドルでの円安効果はあったが、ドル以外の通貨の取引が減益要因になり、為替変動の影響は差し引き50億円のプラスにとどまったほか、研究開発費などの諸経費増加も1100億円とかさみ、原価改善努力の950億円を打ち消した。

生産休止をめぐっては、1月に起きた愛知製鋼知多工場(愛知県東海市)での爆発事故により部品供給が滞るため、トヨタは2月8日―13日まで車両組み立て工場を停止する。15日から稼働を再開するが、早川茂専務役員は会見で「仕入れ先に損害、特別な費用が発生する場合には補償を検討する旨を伝えている」と話した。

*内容とカテゴリーを追加しました。

(白木真紀 編集:山川薫)

ロイター
Copyright (C) 2016 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

英労働市場に減速の兆し、企業の税負担増を前に 賃金

ワールド

ウクライナ和平案、米国との合意は容易ではない=ロシ

ビジネス

焦点:ルイ・ヴィトン、テキサスの生産苦戦 米拠点拡

ワールド

自民が対米交渉で会合、赤沢再生相「国益や効果考え抜
MAGAZINE
特集:トランプショック
特集:トランプショック
2025年4月22日号(4/15発売)

大規模関税発表の直後に90日間の猶予を宣言。世界経済を揺さぶるトランプの真意は?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜け毛の予防にも役立つ可能性【最新研究】
  • 2
    中国はアメリカとの貿易戦争に勝てない...理由はトランプ関税ではなく、習近平の「失策」
  • 3
    動揺を見せない習近平...貿易戦争の準備ができているのは「米国でなく中国」である理由
  • 4
    あなたには「この印」ある? 特定の世代は「腕に同じ…
  • 5
    「世界で最も嫌われている国」ランキングを発表...日…
  • 6
    NASAが監視する直径150メートル超えの「潜在的に危険…
  • 7
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 8
    シャーロット王女と「親友」の絶妙な距離感が話題に.…
  • 9
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 10
    使うほど脱炭素に貢献?...日建ハウジングシステムが…
  • 1
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最強” になる「超短い一言」
  • 2
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 3
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜け毛の予防にも役立つ可能性【最新研究】
  • 4
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 5
    クレオパトラの墓をついに発見? 発掘調査を率いた…
  • 6
    「ただ愛する男性と一緒にいたいだけ!」77歳になっ…
  • 7
    投資の神様ウォーレン・バフェットが世界株安に勝っ…
  • 8
    「吐きそうになった...」高速列車で前席のカップルが…
  • 9
    コメ不足なのに「減反」をやめようとしない理由...政治…
  • 10
    まもなく日本を襲う「身寄りのない高齢者」の爆発的…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛ばす」理由とは?
  • 3
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 4
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山…
  • 5
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 6
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研…
  • 7
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった.…
  • 8
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
  • 9
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
  • 10
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中