ニュース速報

ビジネス

物価2%達成先送り、必要なら金利含め3次元緩和=日銀展望リポート

2016年01月29日(金)14時09分

 1月29日、日銀は、日本経済の2017年度までの経済・物価の見通しを示す「展望リポート」を公表、2%の物価目標達成時期を従来の16年度後半ごろから17年前半ごろに先送りした。写真は日銀。2008年12月撮影(2016年 ロイター/Yuriko Nakao)

[東京 29日 ロイター] - 日銀は29日、日本経済の2017年度までの見通しを示す「経済・物価情勢の展望(展望リポート)」を公表、2%の物価目標達成時期を従来の16年度後半ごろから17年前半ごろに先送りした。2%の「物価安定の目標」をできるだけ早期に実現するため、「マイナス金利付き量的・質的緩和」を継続し、必要な場合には「量」「質」「金利」の3つの次元で追加的な金融緩和措置を講じるとした。

消費者物価(除く生鮮食品)の見通し(政策委員の見通し中央値)は、原油価格の想定を下振れさせたことにより、下方修正した。

15年度は昨年10月と変わらずプラス0.1%、16年度はプラス1.4%からプラス0.8%に下方修正された。消費税率の10%への引き上げを前提にした17年度は従来と変わらず、増税の影響を除くケースでプラス1.8%とした。

原油価格は従来見通しより引き下げ、1バレル35ドルを出発点に、見通し期間の終盤にかけて40ドル台後半に緩やかに上昇していくと想定している。

経済は「マイナス金利付き量的・質的金融緩和」を継続する中で、金融環境は緩和した状態が続き、景気に対して刺激的に作用していくとした。

物価は、労働需給の引き締まり傾向が続いていることや、設備の稼働率が上昇していくと考えられることから、マクロ的な需給バランスは今年度末にかけてプラスに転じた後、16年度にプラス幅が一段と拡大し、需給面からみた賃金と物価上昇圧力は着実に強まっていくとの予想を示した。中期的な予想物価上昇率は、企業の価格・賃金設定スタンスが特に今年度に入り明確に変化しているとして、消費者も価格改定を受容しているとみられる、とした。

リスク要因として、第1に中国をはじめとする新興国や資源国、米国の利上げの影響、地政学リスクなど海外経済動向、第2に17年4月の消費税率引き上げの影響、第3に企業や家計の中長期的な成長期待を挙げた。さらに財政の中長期的な持続可能性に対する信認低下も指摘した。

(中川泉 編集:山川薫)

ロイター
Copyright (C) 2016 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

シンガポール議会解散、5月3日に総選挙

ワールド

米副大統領、対英通商合意「可能性十分」 ゼレンスキ

ワールド

赤沢再生相「国益考え対応」、米関税めぐる自民部会 

ビジネス

インド卸売物価、3月は前年比+2.05% 4カ月ぶ
MAGAZINE
特集:トランプショック
特集:トランプショック
2025年4月22日号(4/15発売)

大規模関税発表の直後に90日間の猶予を宣言。世界経済を揺さぶるトランプの真意は?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜け毛の予防にも役立つ可能性【最新研究】
  • 2
    中国はアメリカとの貿易戦争に勝てない...理由はトランプ関税ではなく、習近平の「失策」
  • 3
    動揺を見せない習近平...貿易戦争の準備ができているのは「米国でなく中国」である理由
  • 4
    あなたには「この印」ある? 特定の世代は「腕に同じ…
  • 5
    「世界で最も嫌われている国」ランキングを発表...日…
  • 6
    NASAが監視する直径150メートル超えの「潜在的に危険…
  • 7
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 8
    シャーロット王女と「親友」の絶妙な距離感が話題に.…
  • 9
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 10
    使うほど脱炭素に貢献?...日建ハウジングシステムが…
  • 1
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最強” になる「超短い一言」
  • 2
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 3
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜け毛の予防にも役立つ可能性【最新研究】
  • 4
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 5
    クレオパトラの墓をついに発見? 発掘調査を率いた…
  • 6
    「ただ愛する男性と一緒にいたいだけ!」77歳になっ…
  • 7
    投資の神様ウォーレン・バフェットが世界株安に勝っ…
  • 8
    「吐きそうになった...」高速列車で前席のカップルが…
  • 9
    コメ不足なのに「減反」をやめようとしない理由...政治…
  • 10
    まもなく日本を襲う「身寄りのない高齢者」の爆発的…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛ばす」理由とは?
  • 3
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 4
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山…
  • 5
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 6
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研…
  • 7
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった.…
  • 8
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
  • 9
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
  • 10
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中