ニュース速報

ビジネス

金融政策に4%の賃上げ目標を、物価目標より利点=渡辺・東大教授

2016年01月22日(金)19時21分

 1月22日、日銀出身でPOSデータを利用した日次物価指数の研究などで知られる東京大の渡辺努教授は、金融政策の新たな枠組みとして賃金上昇率を目標とすることが望ましいとする論考をこのほど公表した。写真は黒田日銀総裁、ニューヨークで昨年8月撮影(2016年 ロイター/Mike Segar)

[東京 22日 ロイター] - 日銀出身でPOSデータを利用した日次物価指数の研究などで知られる東京大学の渡辺努教授は、金融政策の新たな枠組みとして物価目標に代わり賃金上昇率を目標とすることが望ましいとする論考をこのほど公表した。

日銀の巨額の金融緩和の結果として物価上昇には賃上げが不可欠という事実があぶりだされるなか、議論を呼びそうだ。

渡辺教授は、所得の先行きを厳しくみている消費者が日銀の金融政策を評価していないことなどを指摘。政策の結果、人々の予想物価上昇率を高めることに成功したとしても「消費者は支出を増やすどころか、生活防衛のために貯蓄増に向かってしまう」ほか、「名目賃金が上がらない予想の下では実質賃金が低下する予想が生まれ、消費を下押す方向に働き、デフレ脱却は果たせない」と懸念している。

一方、賃金目標政策に転換すれば、労働市場のひっ迫が予想されることから賃金が物価より先に上昇するなどの利点があると強調。賃金上昇率は物価上昇率と労働生産性の上昇率の和という前提で、「労働生産性の上昇率を2%と仮置きし、物価上昇率2%と合わせて賃金上昇率4%になるまで金融緩和を継続する」という新目標を提案している。

(竹本能文※)

ロイター
Copyright (C) 2016 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

トランプ氏、FDA長官に外科医マカリー氏指名 過剰

ワールド

トランプ氏、安保副補佐官に元北朝鮮担当ウォン氏を起

ワールド

トランプ氏、ウクライナ戦争終結へ特使検討、グレネル

ビジネス

米財務長官にベッセント氏、不透明感払拭で国債回復に
MAGAZINE
特集:超解説 トランプ2.0
特集:超解説 トランプ2.0
2024年11月26日号(11/19発売)

電光石火の閣僚人事で世界に先制パンチ。第2次トランプ政権で次に起きること

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 2
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋トレに変える7つのヒント
  • 3
    「このまま全員死ぬんだ...」巨大な部品が外されたまま飛行機が離陸体勢に...窓から女性が撮影した映像にネット震撼
  • 4
    北朝鮮は、ロシアに派遣した兵士の「生還を望んでい…
  • 5
    ロシア西部「弾薬庫」への攻撃で起きたのは、戦争が…
  • 6
    日本人はホームレスをどう見ているのか? ルポに対す…
  • 7
    「何も見えない」...大雨の日に飛行機を着陸させる「…
  • 8
    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受…
  • 9
    ウクライナ軍、ロシア領内の兵器庫攻撃に「ATACMSを…
  • 10
    クルスク州のロシア軍司令部をウクライナがミサイル…
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 3
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査を受けたら...衝撃的な結果に「謎が解けた」
  • 4
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 5
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋…
  • 6
    日本人はホームレスをどう見ているのか? ルポに対す…
  • 7
    北朝鮮は、ロシアに派遣した兵士の「生還を望んでい…
  • 8
    Netflix「打ち切り病」の闇...効率が命、ファンの熱…
  • 9
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 10
    メーガン妃が「輝きを失った瞬間」が話題に...その時…
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参加で「ネットの自由」を得た兵士が見ていた動画とは?
  • 3
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 4
    外来種の巨大ビルマニシキヘビが、シカを捕食...大き…
  • 5
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 6
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査…
  • 7
    北朝鮮兵が味方のロシア兵に発砲して2人死亡!? ウク…
  • 8
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 9
    足跡が見つかることさえ珍しい...「超希少」だが「大…
  • 10
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中