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会員企業に年収ベースで昨年を上回る賃上げ求める=経団連会長

1月5日、日本経済団体連合会の榊原定征会長は、日本・東京商工会議所、経済同友会と共催した新年祝賀パーティー後の共同記者会見で、会員企業に対して年収ベースで昨年を上回る賃上げを求めていくことを明らかにした。昨年11月撮影(2016年 ロイター/Toru Hanai)
[東京 5日 ロイター] - 日本経済団体連合会の榊原定征会長は5日、日本・東京商工会議所、経済同友会と共催した新年祝賀パーティー後の共同記者会見で、会員企業に対して年収ベースで昨年を上回る賃上げを求めていくことを明らかにした。また、年明けに株価が大幅下落したことについては、一時的な動きとし、日本経済は日経平均2万円台を回復する力があるとの認識を示した。
榊原会長は、春の労使交渉に向けて「今年1月中旬に出す経営労働政策委員会報告の中で、各社の収益に見合った積極的な対応を求める」と説明。「収益が拡大した企業には、設備投資、研究開発投資、雇用の拡大と併せて、2015年を上回る年収ベースの賃金引き上げについて前向きに踏み込んだ検討を求めたい」と語った。
経済同友会の小林喜光代表幹事も「大企業は増収増益を続ける中で、それに比例して賃上げをするのは当然」との認識を示した。
ただ、ベアについては「今年は特に言及せず、各社の判断に委ねたい」(榊原会長)とし、「ベア、定期昇給、手当、賞与を含めた年収ベースで底上げをしていただきたい」(同)と強調した。
<日経平均2万円回復の力ある>
榊原会長は年明けに株価が大幅下落したことについて「中国経済の減速懸念と中東情勢を受けた動きで、世界経済の基本的なファンダメンタルズが大きく毀損(きそん)したということではない」と述べ、「いまの株の動きは一時的な動きで本来の姿に戻るだろう」と楽観的な見方を示した。日本の株価についても「企業業績は非常に好調なので、それを反映した形にだんだん収束していくのではないか。(日経平均)2万円台を回復できるだけのファンダメンタルズの力はある」と強調した。
中国経済については「悲観はしていない。大きなリスク要因にはならないだろう」と語った。
経済界は、今年はデフレ脱却に向けた正念場と位置付けている。日本・東京商工会議所の三村明夫会頭は「単に物価面でのデフレ脱却ではなく、デフレマインドからの脱却が大事だ」と述べ、「消費者の消費行動にしても、経営者の投資行動にしても、デフレ脱却には至っていない」との認識を示した。
その上で「日銀の黒田総裁は脱却には物価上昇が必要だと繰り返しているが、ここに至ったら(脱却するカギは)われわれの心の中にあるというのが一番正しい見方だ。デフレ脱却のカギはやはり経営者にあり、設備投資の復活がいつなされるのか、極めて興味深く見守っている」と語った。
(志田義寧 編集:田中志保)