ニュース速報

ビジネス

日産もタカタ製インフレーターを不採用、エアバッグ問題で

2015年11月07日(土)15時57分

 7日、タカタ製エアバッグのリコール問題をめぐり、日産自動車が、硝酸アンモニウムを使ったタカタ製インフレーターを今後開発する車に採用しないと発表。写真は東京モーターショーに出展した日産車のロゴ(2015年 ロイター/Issei Kato)

[東京 7日 ロイター] - タカタ<7312.T>製エアバッグのリコール(回収・無償修理)問題をめぐり、日産自動車<7201.T>は7日、硝酸アンモニウムを使ったタカタ製インフレーター(ガス発生装置)を今後開発する車に採用しないと発表した。最大顧客のホンダを始め、タカタ製を多く使用していた大手自動車メーカーのほとんどが全世界で不採用の方針を打ち出した。

日産自の広報担当者は「顧客の安全が最優先」であり、「将来のモデルに硝酸アンモニウムを使ったインフレ―ターを使わないと決めた」とコメントした。

すでにマツダ<7261.T>が5日、開発中の車両から硝酸アンモニウムによるインフレーターの不採用を表明。トヨタ自動車<7203.T>も生産中・開発中を問わず使用しない考えで、豊田章男社長は6日、「タカタ製の硝酸アンモニウムタイプのインフレーターは今後は使用しない」と明言した。富士重工業<7270.T>や三菱自動車<7211.T>も同様で、両社は市場に出回っている車の交換用としてもタカタ製を使用しない方針だ。

米国運輸省道路交通安全局(NHTSA)は、高温多湿に弱い硝酸アンモニウムがエアバッグの異常破裂を引き起こし米国内での死傷事故につながったとみて、10月末以降、同国内で硝酸アンモニウムを使ったインフレーターを搭載するエアバッグの新規契約を結ばないようタカタに強く要請、同社は同意した。ホンダはまた、タカタから提出された試験データに不適切な報告があったことも指摘している。

タカタはエアバッグを膨らませるガス発生剤の9割以上に硝酸アンモニウムを使っている。今後は硝酸アンモニウムの代わりとして、同業他社が採用している硝酸グアニジンと呼ばれる物質を使用していくことを決めたが、切り替えは「来期以降になる」(野村洋一郎最高財務責任者)という。

タカタが負担を決めたリコール費用は現時点では、自社に責任があると認めた約950万台分にとどまる。原因調査中の約4000万台は合理的な金額が見積もれないとして費用を計上していない。追加リコール費用は約3000億円との試算もあるほか、損害賠償を求める集団訴訟も複数抱えている。その影響額も現時点では不明で、今後、同社の収益・財務基盤の悪化が懸念される。

(白木真紀 編集:北松克朗)

ロイター
Copyright (C) 2015 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

BMW、英国でBEV「ミニ」の生産開始時期を見直し

ビジネス

英BP、再エネ発電量30年までに20倍の目標を撤回

ビジネス

独VWと中国CATL、リチウム電池開発で協業

ビジネス

米シティ、インド株の投資判断をオーバーウエートに引
MAGAZINE
特集:ウクライナが停戦する日
特集:ウクライナが停戦する日
2025年2月25日号(2/18発売)

ゼレンスキーとプーチンがトランプの圧力で妥協? 20万人以上が死んだ戦争が終わる条件は

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    細胞を若返らせるカギが発見される...日本の研究チームが発表【最新研究】
  • 2
    障がいで歩けない子犬が、補助具で「初めて歩く」映像...嬉しそうな姿に感動する人が続出
  • 3
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 4
    見逃さないで...犬があなたを愛している「11のサイン…
  • 5
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン…
  • 6
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される…
  • 7
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」…
  • 8
    有害なティーバッグをどう見分けるか?...研究者のア…
  • 9
    「健康寿命」を延ばすのは「少食」と「皮下脂肪」だ…
  • 10
    トランプが「マスクに主役を奪われて怒っている」...…
  • 1
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」だった?...高濃度で含まれる「食べ物」に注意【最新研究】
  • 2
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される【最新研究】
  • 3
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン化」の理由
  • 4
    細胞を若返らせるカギが発見される...日本の研究チー…
  • 5
    動かないのに筋力アップ? 88歳医大名誉教授が語る「…
  • 6
    障がいで歩けない子犬が、補助具で「初めて歩く」映…
  • 7
    ビタミンB1で疲労回復!疲れに効く3つの野菜&腸活に…
  • 8
    7年後に迫る「小惑星の衝突を防げ」、中国が「地球防…
  • 9
    飛行中の航空機が空中で発火、大炎上...米テキサスの…
  • 10
    【クイズ】世界で1番マイクロプラスチックを「食べて…
  • 1
    週刊文春は「訂正」を出す必要などなかった
  • 2
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 3
    【一発アウト】税務署が「怪しい!」と思う通帳とは?
  • 4
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」…
  • 5
    「健康寿命」を延ばすのは「少食」と「皮下脂肪」だ…
  • 6
    1日大さじ1杯でOK!「細胞の老化」や「体重の増加」…
  • 7
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される…
  • 8
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ.…
  • 9
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン…
  • 10
    「DeepSeekショック」の株価大暴落が回避された理由
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中