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米当局、タカタに制裁金最大2億ドル 欠陥エアバッグ問題で

2015年11月04日(水)08時21分

11月3日、米道路交通安全局(NHTSA)は、タカタの欠陥エアバッグ問題で最大2億ドルの罰金を科す方針を示すとともに、プロペラント(ガス発生剤)として硝酸アンモニウムを利用したインフレーター(膨張装置)の生産停止を命じた。写真は5月20日、米ミシガン州で(2015年 ロイター/Rebecca Cook)

[ワシントン/デトロイト 3日 ロイター] - 米道路交通安全局(NHTSA)は、タカタ<7312.T>の欠陥エアバッグ問題で最大2億ドルの制裁金を科す方針を示すとともに、プロペラント(ガス発生剤)として硝酸アンモニウムを利用したインフレーター(膨張装置)の生産停止を命じた。

NHTSAは硝酸アンモニウムがエアバッグの異常破裂を引き起こした要因と指摘。米国内で7人の死者と約100人の負傷者を出したとした。

制裁金の内訳は現金7000万ドルに加え、タカタが当局の命令に従わなかった場合、または新たな規則違反が見つかった場合に、さらに1億3000万ドルを上乗せするとした。

タカタは、2018年末までにインフレーターでの硝酸アンモニウム利用を段階的にやめると約束。7000万ドルの制裁金については2020年10月までに6回に分割して支払うとした。

同社のADR(米国預託証券)は4%超下落して引けた。

また、タカタ製エアバッグの最大の供給先であるホンダ<7267.T>は「(タカタが)エアバッグ膨張装置の試験データを偽り、操作していた」ことを示唆する証拠に「非常に困惑している」と表明した。

NHTSAは「選択的、不完全もしくは不正確なデータ」を2009年から現在まで提出していたとしてタカタを非難した。

ホンダは「数百万ページに及ぶタカタの内部資料」から成る情報をNHTSAに提供したとした。また、米国内でこれまでに630万台をリコール(回収・無償修理)し、そのうち4割超でインフレーターを交換したと明らかにした。

最大2億ドルの制裁金は、NHTSAがフィアット・クライスラー・オートモービルズに今年科した制裁金1億3000万ドルを上回る。

ただ他の機関をみると、例えば米環境保護局(EPA)はフォルクスワーゲン(VW)について、違法ソフトウエア問題で制裁金が数十億ドル規模に達する可能性があると指摘している。

民主党のエドワード・マーキー上院議員とリチャード・ブルメンタル上院議員は3日、NHTSAが科すことができる制裁金の上限撤廃をあらためて議会に求めた。

NHTSAはこれまでに12の自動車メーカーが1900万台をリコールしたと指摘。欠陥の可能性があるインフレーターは2300万個を超えるという。

フォックス米運輸長官は、硝酸アンモニウムを使用したインフレーターを搭載した数百万台が依然としてリコールされていない可能性があるとしている。

同長官は「(タカタが)安全性を証明できるまで、硝酸アンモニウムがエアバッグに使用されることはない」と述べた。

NHTSAはまた、自動車メーカーが既にリコールされた車両について十分な代替インフレーターを工面するのにさらに4年かかる可能性があると指摘。供給とデザインの面で「暫定的な修理」にとどまった車両については、2019年末までに修理を受ける必要があるとした。

*内容を追加します。

ロイター
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