ニュース速報

ビジネス

海運市況の低迷は長期化の恐れ、業界再編の引き金に

2015年10月22日(木)18時49分

[釜山 22日 ロイター] - 石炭や鉄鉱石、穀物など乾貨物(ドライカーゴ)を運ぶばら積み船の運賃は、商品需要の冷え込みや貨物船の大型化を背景に引き続き圧迫される見通しで、業界再編への圧力が一段と強まることが予想されている。

JPモルガンの韓国責任者、ソクジェ・リー氏は運賃の低迷が何年も続く可能性があると指摘し、特に中国造船業界にとって脅威になると述べた。中国では労働コストがこの10年で3倍に上昇し、今や韓国や日本よりも高水準となっているためだ。

リー氏は「中国では向こう2年間に大規模な業界再編が起きるだろう」との見方を示した。

業界専門家の間では、中国遠洋運輸集団(COSCO)[COSCO.UL] と中国海運集団[CNSHI.UL] の国有海運大手2社の合併が発表されるとの観測がある。COSCOは中国遠洋(チャイナCOSCO)<601919.SS> 、中国海運集団は中海発展<600026.SS>をそれぞれ傘下に持つ。これらを含む両社の傘下企業の株式は合併の可能性が浮上した2カ月前から売買停止となっている。

商品コンサルタント会社コモドア・リサーチのジェフリー・ランズバーグ氏はロイターに対し、中国の景気減速や原材料需要低下の影響に加え、世界の他の地域のばら積み船市場も低迷していると述べた。

同氏は「中国を除く世界の粗鋼生産は、中国の粗鋼生産より状況が悪化している」としたが、まだその認識は広がっていないという。

「それが認識されれば、ばら積み船市場の長期的な見通しがどれほど暗いかがわかるだろう」と話し、世界の粗鋼生産の半分は中国以外が占めていると指摘した。

一方、来年パナマ運河の拡張工事が完了することや中国の「21世紀の海のシルクロード」構想に、希望の兆しを見出そうとする業界関係者もいる。

船舶ブローカー大手、クラークソンズ・プラトーのマーティン・ロウ氏は「用船契約と需要がともに増えれば、ある時点から運賃が上昇し始めるだろう」と述べた。

ロイター
Copyright (C) 2015 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米MSにロシア関与のサイバー攻撃、顧客メールにアク

ワールド

米政府、イスラエルと500ポンド爆弾の輸送再開を協

ビジネス

中国碧桂園、株式の取引再開へ香港取引所が指針 

ワールド

CNNが大統領番記者の討論会場入り禁止、記者協会が
MAGAZINE
特集:小池百合子の最終章
特集:小池百合子の最終章
2024年7月 2日号(6/25発売)

「大衆の敵」をつくり出し「ワンフレーズ」で局面を変える小池百合子の力の源泉と日和見政治の限界

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    爆破され「瓦礫」と化したロシア国内のドローン基地...2枚の衛星画像が示す「シャヘド136」発射拠点の被害規模
  • 2
    「大丈夫」...アン王女の容態について、夫ローレンス卿が語る
  • 3
    ガチ中華ってホントに美味しいの? 中国人の私はオススメしません
  • 4
    衛星画像で発見された米海軍の極秘潜水艇「マンタレ…
  • 5
    中国を捨てる富裕層が世界一で過去最多、3位はインド…
  • 6
    ミラノ五輪狙う韓国女子フィギュアのイ・ヘイン、セク…
  • 7
    貨物コンテナを蜂の巣のように改造した自爆ドローン…
  • 8
    白昼のビーチに「クラスター子弾の雨」が降る瞬間...…
  • 9
    「次世代のトム・クルーズ」と話題のイケメン俳優、…
  • 10
    偉大すぎた「スター・ウォーズ」の看板...新ドラマ『…
  • 1
    爆破され「瓦礫」と化したロシア国内のドローン基地...2枚の衛星画像が示す「シャヘド136」発射拠点の被害規模
  • 2
    「大丈夫」...アン王女の容態について、夫ローレンス卿が語る
  • 3
    偉大すぎた「スター・ウォーズ」の看板...新ドラマ『アコライト』を失速させてしまった「伝説」の呪縛
  • 4
    「何様のつもり?」 ウクライナ選手の握手拒否にロシ…
  • 5
    スカートたくし上げノリノリで披露...米大物女優、豪…
  • 6
    衛星画像で発見された米海軍の極秘潜水艇「マンタレ…
  • 7
    ロシア軍部隊を引き裂く無差別兵器...米軍供与のハイ…
  • 8
    アン王女と「瓜二つ」レディ・ルイーズ・ウィンザーっ…
  • 9
    貨物コンテナを蜂の巣のように改造した自爆ドローン…
  • 10
    ガチ中華ってホントに美味しいの? 中国人の私はオス…
  • 1
    ラスベガスで目撃された「宇宙人」の正体とは? 驚愕の映像が話題に
  • 2
    ニシキヘビの体内に行方不明の女性...「腹を切開するシーン」が公開される インドネシア
  • 3
    ウクライナ水上ドローンが、ヘリからの機銃掃射を「回避」してロシア黒海艦隊に突撃する緊迫の瞬間
  • 4
    「世界最年少の王妃」ブータンのジェツン・ペマ王妃が…
  • 5
    接近戦で「蜂の巣状態」に...ブラッドレー歩兵戦闘車…
  • 6
    新型コロナ変異株「フラート」が感染拡大中...今夏は…
  • 7
    ヨルダン・ラジワ皇太子妃の「マタニティ姿」が美しす…
  • 8
    早期定年を迎える自衛官「まだまだやれると思ってい…
  • 9
    我先にと逃げ出す兵士たち...ブラッドレー歩兵戦闘車…
  • 10
    認知症の予防や脳の老化防止に効果的な食材は何か...…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中