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情報BOX:独VW、排ガス不正の代償はどこまで膨らむか
9月30日、VWは排ガス不正で時価総額の3分の1を失い、創業以来78年に及ぶ歴史のなかで、最大の危機に陥っている。写真は同社ロゴ。ロンドンで撮影(2015年 ロイター/Stefan Wermuth)
[1日 ロイター] - ドイツ自動車大手フォルクスワーゲン(VW)(VOWG_p.DE)は、米国でディーゼルエンジン車の排ガス規制を不正に逃れていたことを認めた。欧州最大の自動車メーカーであるVWは時価総額の3分の1を失い、創業以来78年に及ぶ歴史のなかで、最大の危機に陥っている。
以下は、VWが支払いを迫られる可能性のあるコストの一部。不正排ガス問題に伴う販売台数の減少や、販売価格の下落などの影響は除外している。
<リコールコスト>
VWは9月29日、違法ソフトウエアを搭載した最大1100万台をリコール(回収・無償修理)すると表明。コストは65億ドル(約7800億円)を上回る可能性がある。
<規制当局>
米環境保護庁(EPA)は9月18日、VWは米国での排ガス規制逃れに伴い、最大180億ドルの罰金に直面していると発表。
一方、オーストラリアの自由競争消費者委員会(ACCC)は10月1日、もしVWが同国の消費者を欺いたことが調査で確認された場合、同社に数百万ドルの罰金を科す可能性があると明らかにした。
独運輸省は、VWが欧州でも規制逃れをしていたと明らかにした。欧州、およびアジアと中米の一部の規制当局も調査に乗り出した。
<中央、地方政府による訴訟>
米大気浄化法に基づき訴訟を起こされる可能性があり、また不正行為で有罪と認められれば罰せられる。米カリフォルニア州は、VWに対して是正措置を準備している。
米テキサス州ハリス郡は9月30日、同州の環境に関する法律に違反したとしてVWを提訴。違反行為1件につき1日当たり最大2万5000ドルの制裁金の支払いを求めている。
ドイツ検察当局は9月23日、市民からの刑事告訴が相次いでいることを受けて、VWに対する初期的な捜査に乗り出したことを明らかにした。ドイツ以外の複数の国でも、検察が捜査に着手しているという。
<民間団体による訴訟>
複数の独立系ディーラーは、排ガス不正発覚に伴う損失への賠償を求めて、9月24日にカリフォルニア州でVWを提訴。また、ケラー・ローバック法律事務所は10月1日、43州とワシントンDCの原告代理として、7つの集団訴訟を起こしたことを明らかにした。
米法律事務所のロビンス・ゲラー・ルドマン・アンド・ダウドも9月25日、機関投資家の代理でVWを相手取り集団訴訟を起こしている。米国では、排ガス不正操作の影響を受けた自動車のオーナーによる提訴が相次いでおり、訴訟の動きは今後、一段と広がる可能性がある。
一方、欧州では、イタリアの消費者団体「Codacons」は9月30日、VWが車の所有者をだまし、環境を害した可能性があるとして、同社に対し集団訴訟を起こしたと発表。VW株急落を受けて、欧州の一部の株主も、損害賠償訴訟を検討している。
<補助金返還>
スペインは9月29日、VWが不正車に対する補助金を返還することで合意したと発表した。同国は、エネルギー効率の良い車の購入に際して、1000ユーロ(約13万4000円)の補助金を出している。
*1日に配信した記事に内容を追加して再送します。