ニュース速報

ビジネス

英国のEU離脱めぐり先行き不透明感、銀行が投資見合わせ

2015年05月20日(水)01時07分

 5月19日、英国銀行協会によると、EU離脱に関する国民投票が終わるまで、投資を見合わせる銀行が出始めた。写真はロンドンの議事堂上空を覆う雲を見詰める女性。昨年8月撮影(2015年 ロイター/Luke MacGregor)

[フランクフルト/ロンドン 19日 ロイター] - 英国銀行協会(BBA)によると、欧州連合(EU)離脱に関する国民投票が終わるまで、英国への投資を見合わせる銀行が出始めた。

キャメロン首相はEU離脱の是非を問う国民投票を2017年末までに実施すると公約しており、先行き不透明感が強まっている。銀行への「懲罰的な」課税と合わせて銀行業界には不満が高まっている。

BBAによると、分割される前の英金融サービス機構(FSA)の最高経営責任者(CEO)を務めたヘクター・サンツ氏や、コンサルタントのオリバー・ワイマン氏が、今秋にも英国の競争力を検証する報告書をさまざまな提案とともに英政府に提出するという。

資産量でユーロ圏第2位のドイツ銀行は、いわゆる「英国離脱(Brexit)」に備えて、一部事業を英国からドイツやユーロ圏の別の地域に移管することを検討するワーキンググループを立ち上げた。グループには事業戦略やリスク、英国のマネジメント・リサーチ部門の幹部らが含まれており、英国のEU離脱のさまざまなシナリオやその影響について分析する。広報担当者が明らかにした。

ドイツ銀は1873年に英国に拠点を設立し、現在、英国内の16カ所に事務所を構える。英国内に9000人近い従業員を抱える。

ゴールドマンサックスやJPモルガン、バンク・オブ・アメリカ・メリルリンチ、モルガン・スタンレーは、英国のEU離脱に関する正式な緊急対応策はないとしているが、英国で大規模に事業を展開している銀行は、離脱の意味や欧州との取引が制限されるかなどについて調べるとみられる。

イングランド銀行(英中央銀行、BOE)のカーニー総裁は先週、国民投票の進め方を英政府は明確にしなければならないと述べた。

HSBCも本店をロンドンから移すかどうか検討している。数か月以内に結論を出す方針だ。もし移ることになれば、香港の可能性が最も高いとされる。HSBCは1993年にロンドンに移転する前は本店を香港に構えていた。

HSBCのダグラス・フリント会長は先週、ロイター通信の取材に対し、国民投票の行方に関する不透明感が銀行業界全体の投資計画に影響する可能性があると指摘。

「われわれの経済分析によると、欧州に残り、欧州の競争力を高めるべく努力することで(英国の)優位性は高まる。経済発展のためには安定性と確実性はより高い方が良い。政策の枠組みがどうなるのか予見できて初めて、人々はいろいろな決断ができる」と述べた。

*内容と写真、カテゴリーを追加して再送します。

ロイター
Copyright (C) 2015 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

ウクライナ資源譲渡、合意近い 援助分回収する=トラ

ビジネス

米バークシャー、24年は3年連続最高益 日本の商社

ワールド

トランプ氏、中国による戦略分野への投資を制限 CF

ビジネス

ECB預金金利、夏までに2%へ引き下げも=仏中銀総
MAGAZINE
特集:ウクライナが停戦する日
特集:ウクライナが停戦する日
2025年2月25日号(2/18発売)

ゼレンスキーとプーチンがトランプの圧力で妥協? 20万人以上が死んだ戦争が終わる条件は

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    細胞を若返らせるカギが発見される...日本の研究チームが発表【最新研究】
  • 2
    障がいで歩けない子犬が、補助具で「初めて歩く」映像...嬉しそうな姿に感動する人が続出
  • 3
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン化」の理由
  • 4
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される…
  • 5
    深夜の防犯カメラ写真に「幽霊の姿が!」と話題に...…
  • 6
    見逃さないで...犬があなたを愛している「11のサイン…
  • 7
    トランプが「マスクに主役を奪われて怒っている」...…
  • 8
    動かないのに筋力アップ? 88歳医大名誉教授が語る「…
  • 9
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」…
  • 10
    イスラム×パンク──社会派コメディ『絶叫パンクス レ…
  • 1
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」だった?...高濃度で含まれる「食べ物」に注意【最新研究】
  • 2
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される【最新研究】
  • 3
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン化」の理由
  • 4
    動かないのに筋力アップ? 88歳医大名誉教授が語る「…
  • 5
    朝1杯の「バターコーヒー」が老化を遅らせる...細胞…
  • 6
    7年後に迫る「小惑星の衝突を防げ」、中国が「地球防…
  • 7
    細胞を若返らせるカギが発見される...日本の研究チー…
  • 8
    ビタミンB1で疲労回復!疲れに効く3つの野菜&腸活に…
  • 9
    「トランプ相互関税」の範囲が広すぎて滅茶苦茶...VA…
  • 10
    飛行中の航空機が空中で発火、大炎上...米テキサスの…
  • 1
    週刊文春は「訂正」を出す必要などなかった
  • 2
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 3
    【一発アウト】税務署が「怪しい!」と思う通帳とは?
  • 4
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」…
  • 5
    「健康寿命」を延ばすのは「少食」と「皮下脂肪」だ…
  • 6
    1日大さじ1杯でOK!「細胞の老化」や「体重の増加」…
  • 7
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される…
  • 8
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ.…
  • 9
    世界初の研究:コーヒーは「飲む時間帯」で健康効果…
  • 10
    「DeepSeekショック」の株価大暴落が回避された理由
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中