ニュース速報

ビジネス

第1四半期の米GDP予想大きく下回る、厳冬や原油安で

2015年04月30日(木)00時49分

 4月29日、米商務省は国内総生産統計を発表した。写真はニューオーリンズ港で搬出を待つコンテナ。2010年6月撮影(2015年 ロイター/Sean Gardner)

[ワシントン 29日 ロイター] - 米商務省が29日発表した第1・四半期の実質国内総生産(GDP)速報値は、季節調整後の年率換算で前期比0.2%増となり、市場予想の1.0%増を大きく下回る結果となった。昨年第4・四半期の2.2%増から急減速し、1年ぶりの低い水準になった。

厳冬で個人消費が弱含んだほか、原油安に伴ってエネルギー関連企業が投資を控えた。米西海岸で続いていた港湾労働争議やドル高も経済活動の足かせとなった。

マークイットのチーフエコノミスト、クリス・ウィリアムソン氏は「年初めに米経済成長が鈍化したことで、連邦準備理事会(FRB)がすぐに利上げに踏み切る可能性はなくなった」と分析する。

軟調なGDPは金融市場を混乱させる可能性があるが、天候や労使交渉は一時的な要因であり、第1・四半期の低迷は必ずしも実体経済を正確に反映しているわけではない。

米連邦公開市場委員会(FOMC)はこの日、2日間の会合を終える。声明では経済の成長鈍化を認識しながらも、一時的な傾向だとの見方を示すとみられる。

年初には、多くのエコノミストが米連邦準備理事会(FRB)による利上げを今年の6月と予想していた。現在は大半が9月あたりとみている。

エコノミストらは、2月の例年にない寒波がGDPを最大0.5ポイント引き下げたと試算。港湾労働争議による物流停滞がさらに0.3ポイント押し下げたとみている。

第1・四半期はGDPの3分の2以上を占める個人消費が1.0%増となった。昨年第4・四半期の4.4%増から大きく落ち込み、1年ぶりの低い伸び率となった。原油安で家計の可処分所得は増えたが、冬の厳しい気候のせいで消費が進まなかった。消費の手控えを反映して、貯蓄は7278億ドルと前四半期の6034億ドルから大きく増えた。

厳しい冬の気候は住宅建設も抑制した。原油の値下がりで石油生産にブレーキがかかり、設備投資も落ち込んだ。

住宅以外のインフラ投資(石油探索・掘削を含む)は23.1%減と、2013年第1・四半期以来初のマイナスとなった。減少率は4年ぶりの大きさだった。鉱業や石油探索、立坑・油井への投資が48.7%減り、インフラ投資全体の水準を押し下げた。

全米産業審議会(コンファレンスボード)のマネージングディレクター、ギャド・レバノン氏は「企業収益の押し下げ圧力や石油関連投資の大幅減、ドル高が米経済の重しとなっている」と述べる。

ドルは第1・四半期に米国の主要貿易相手国の通貨に対して4.5%値上がりし、港湾労働争議とともに輸出の重しとなった。輸出の落ち込みはGDPを1.25ポイント引き下げた。ドル高は今後も経済を抑制する見込みで、エコノミストらは今年のGDPを0.6ポイント押し下げると計算している。

一方、在庫投資には予想外に大きな積み上がりがみられた。GDPに対する在庫の寄与度は0.74ポイントとなった。

*内容を追加して再送します。

ロイター
Copyright (C) 2015 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

焦点:ウクライナ巡り市民が告発し合うロシア、「密告

ワールド

台湾総統、太平洋3カ国訪問へ 米立ち寄り先の詳細は

ワールド

IAEA理事会、イランに協力改善求める決議採択

ワールド

中国、二国間貿易推進へ米国と対話する用意ある=商務
MAGAZINE
特集:超解説 トランプ2.0
特集:超解説 トランプ2.0
2024年11月26日号(11/19発売)

電光石火の閣僚人事で世界に先制パンチ。第2次トランプ政権で次に起きること

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 2
    日本人はホームレスをどう見ているのか? ルポに対する中国人と日本人の反応が違う
  • 3
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋トレに変える7つのヒント
  • 4
    Netflix「打ち切り病」の闇...効率が命、ファンの熱…
  • 5
    北朝鮮は、ロシアに派遣した兵士の「生還を望んでい…
  • 6
    NewJeans生みの親ミン・ヒジン、インスタフォローをす…
  • 7
    元幼稚園教諭の女性兵士がロシアの巡航ミサイル「Kh-…
  • 8
    【ヨルダン王室】生後3カ月のイマン王女、早くもサッ…
  • 9
    プーチンはもう2週間行方不明!? クレムリン公式「動…
  • 10
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」…
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査を受けたら...衝撃的な結果に「謎が解けた」
  • 3
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り捨てる」しかない理由
  • 4
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 5
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 6
    日本人はホームレスをどう見ているのか? ルポに対す…
  • 7
    アインシュタイン理論にズレ? 宇宙膨張が示す新たな…
  • 8
    クルスク州の戦場はロシア兵の「肉挽き機」に...ロシ…
  • 9
    沖縄ではマーガリンを「バター」と呼び、味噌汁はも…
  • 10
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参加で「ネットの自由」を得た兵士が見ていた動画とは?
  • 3
    外来種の巨大ビルマニシキヘビが、シカを捕食...大きな身体を「丸呑み」する衝撃シーンの撮影に成功
  • 4
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 5
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査…
  • 6
    北朝鮮兵が味方のロシア兵に発砲して2人死亡!? ウク…
  • 7
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 8
    足跡が見つかることさえ珍しい...「超希少」だが「大…
  • 9
    モスクワで高層ビルより高い「糞水(ふんすい)」噴…
  • 10
    ロシア陣地で大胆攻撃、集中砲火にも屈せず...M2ブラ…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中