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金融政策は円安あてにせず、原油安が期待に影響すれば対応=日銀総裁

2015年04月23日(木)12時38分

 4月23日、黒田東彦日銀総裁は参院財政金融委員会で、円安をあてにして金融政策を運営しているわけではないと語った。2月撮影(2015年 ロイター/Toru Hanai)

[東京 23日 ロイター] - 黒田東彦日銀総裁は23日午前の参院財政金融委員会で、円安をあてにして金融政策を運営しているわけではない、と語った。原油価格の急落を受けて物価上昇率は鈍化を続けているが、原油安そのものに対応して金融政策を動かすことはないと述べる一方、原油安がインフレ期待に影響するリスクがあれば、政策対応するとの認識を示した。

金融緩和に伴う円安進行が物価上昇に寄与しているが、黒田総裁は「金融政策はあくまで物価安定目標の実現を目指したものだ。その過程で為替が振れることはあり得る」とし、日銀は「円安をあてにして、金融政策を運営しているものではない」と語った。

昨年夏場以降の急激な原油価格の下落を受け、消費者物価(除く生鮮食品、コアCPI)の前年比上昇率は消費税率引き上げの影響を除いたベースでゼロ%まで低下している。2%目標とのかい離が広がっているが、黒田総裁は、原油安は長い目でみて経済にプラスの効果をもたらすとし、原油安そのもに対応して金融政策を動かすことはしないと指摘。

一方、原油安を受けてインフレ期待が悪影響を受けるなどのリスクが生じた場合は「政策対応することになる」と語った。

消費者物価の上昇率は鈍化を続けているものの、需給ギャップやインフレ期待などを反映した物価の基調は「変化しておらず、先行きも着実に改善していく」とし、人々のデフレマインドの転換も「着実に進んでいる」と表明。物価2%は、先行き原油価格が緩やかに上昇していけば「2015年度を中心とする期間に達する可能性が高い」と繰り返した。

ただ、原油価格の動向は「予想し難い」とも述べ、原油価格次第では2%の達成時期が「多少前後する可能性には留意が必要だ」との認識を示した。

また、債務問題が深刻化しているギリシャ情勢に関し、ギリシャ政府の資金繰りはかなりタイトになっており、市場は緊張した状況にあると指摘。ギリシャ情勢や欧州債務問題の今後の展開を「注意深くみていく」と語った。

(伊藤純夫)

ロイター
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