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アングル:米ウォルマートのLGBT支持、ビジネス的に賢明

2015年04月03日(金)17時58分

 4月2日、米小売り大手ウォルマート・ストアーズのダグ・マクミロン最高経営責任者(CEO)が、性的マイノリティーを指すLGBTの権利に支持を唱えている。写真はマクミロンCEO、2014年8月撮影(2015年 ロイター/Jonathan Ernst)

[シカゴ 2日 ロイター] - 米小売り大手ウォルマート・ストアーズのダグ・マクミロン最高経営責任者(CEO)が、性的マイノリティーを指すLGBT(レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダー)の権利に支持を唱えている。

同性愛者らの差別につながる恐れのある、米アーカンソー州の「宗教の自由」保護法案に対して異議を表明し、先月31日に「われわれは、多様性と一体性が同僚や顧客、社会にもたらす恩恵を日々、店舗でじかに感じている」とコメント。ハッチンソン知事に法案への署名を拒否するよう求めたのだ。

保守的な傾向の強い同州に本社を構えるウォルマートのCEOがこうした行動を取るのは意外とも受け止められるが、CEOの行動は10年以上にわたって変化してきた同社のLGBTに関する方針を反映するもので、いくつかの社会問題においてビジネスの観点から理にかなった立場を表明してきたこれまでの同社の動きと一致する。

<ビジネスの保護>

ウォルマートの元幹部で現在同社の顧問を務めるある人物は、LGBTの権利への支持表明は、結局のところビジネスを守ることになると指摘する。

この人物は匿名を条件に「そうすることはビジネス的に賢明だ」と述べ、マクミロン氏の姿勢は、インディアナ州が直面しているような事業ボイコットの回避につながるだろうと語った。また、「文化的に同僚や取引先などにとって正しい行動でもある」と指摘した。

ウォルマートは2003年に性的指向に関する差別を禁止し、LGBT分野で大きなステップを踏み出した。だがその数年後、同社店舗をボイコットするとの保守系団体からの圧力を受け、LGBTへの支持を後退させた経緯がある。

<変化する姿勢>

ウォルマートの姿勢の変化は多くの点で、米国で全般的に見られている意識の変化を反映している。ギャラップの調査によると、同性同士の結婚について一部の人は依然反対しているものの、ここ数年、米国民の過半数が支持している。

アーカンソー州の法案に対するウォルマートの立場について一部の買い物客はソーシャルメディアで批判したが、多くの人が支持を表明。抗議行動やウォルマートの店舗に影響を及ぼすその他の動きの兆候は見られていない。

ウォルマートは11年に性の同一性や表現をめぐる差別を禁止。13年には同性同士のカップルにも福利厚生を拡大した。こうした動きを背景に、同社はHRCの企業平等指数で100点満点中90を獲得した。

ウォルマートからの補助金で2006年に創設されたNorthwest Arkansas Center for Equalityのジョーダン・ガルシア氏は「ウォルマートはLGBTに関し、過去10年にわたってどのような方針を取るかについてビジョンを持ってきた」と指摘。

「ただその方針を示すのに適した時期はいつか、適したリーダーシップが整っているかという問題だった」と語った。

(Nathan Layne記者 翻訳:佐藤久仁子 編集:加藤京子)

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