ニュース速報

ビジネス

焦点:アジアの金融緩和はFRBからの独立宣言、原油安後押し

2015年03月13日(金)17時38分

 3月13日、アジア各国の中央銀行は今年に入って相次いで政策緩和に踏み切っており、一種の「緩和ブーム」の様相を呈している。ワシントンで昨年10月撮影(2015年 ロイター/Gary Cameron)

[シンガポール 13日 ロイター] - アジア各国の中央銀行は今年に入って相次いで政策緩和に踏み切っており、一種の「緩和ブーム」の様相を呈している。このように、アジアの中銀が米連邦準備理事会(FRB)の金融政策の方向性を気にせず、独自に行動するのは過去数十年間なかったことだ。

FRBが緩和縮小開始を示唆した2013年には、アジアの中央銀行は資本流出を食い止めようと、一斉に政策金利の引き上げに動いた。

それと対照的に今年は、米利上げが視野に入っているにもかかわらず、シンガポール、中国、インド、インドネシアなどが予想外の金融緩和を発表。タイと韓国も今週、利下げした。また、中国など域内の中銀の大半は、自国通貨安を誘導したり、通貨下落を容認したりしている。

一方、ロシアやブラジル、メキシコ、トルコ、南アなど、ほかの地域の新興国では、景気が振るわないなかでも積極的な利下げには動きにくい。というのは、これらの諸国は巨額債務や通貨安、高インフレ率、資源収入の減少に見舞われており、資本逃避リスクも高いからだ。

BofAメリルリンチ(シンガポール)の外為・金利戦略共同責任者のクラウディオ・ピロン氏は「FRBの緩和縮小におびえ、アジアの中銀が雪崩を打って利上げしていた2013年とは様変わり」と話す。

同氏は「われわれが目撃しているのは、米国の金融政策からの根本的なかい離。これまでに例のない実験だ」との見方を示した。

<一段の金融緩和も>

アジアの金融緩和の背景にあるのは、原油価格の下落を背景としたインフレ率低下や、世界的な需要の弱さ、国内経済の成長鈍化だ。

BofAメリルリンチのピロン氏は、原油の輸入コスト低下を受け、インドやインドネシアで経常収支が改善していることを指摘する。

アナリストは、今後、一段の緩和を予想している。クレディスイスのエコノミスト、サンティタン・サティアンタイ氏は、中国とインド、インドネシア、シンガポールが追加緩和を行う、と述べた。

ピロン氏は、アジアの政策当局者は引き続き、通貨の上昇抑制を重視すると指摘する。「タイや韓国の中銀が最も避けたいことは、自国通貨が上昇し、利下げの効果が台無しになる事態だ」との見方を示した。

(Vidya Ranganathan記者 翻訳:吉川彩 編集:加藤京子)

ロイター
Copyright (C) 2015 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

レバノン全面戦争回避に尽力、情勢悪化リスク深刻=米

ワールド

中国政府、雇用促進に向けた指針発表 深刻な経済危機

ワールド

中国の海外ブランドスマホ販売、8月は12.7%減

ワールド

イスラエル、レバノン空爆続行 ヒズボラはモサド狙い
MAGAZINE
特集:羽生結弦が能登に伝えたい思い
特集:羽生結弦が能登に伝えたい思い
2024年10月 1日号(9/24発売)

被災地支援を続ける羽生結弦が語った、3.11の記憶と震災を生きる意味

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    まさかの「ハリス不支持」...130万人からなる「あの巨大労組」が異例の声明、大統領選への影響は?
  • 2
    北朝鮮、泣き叫ぶ女子高生の悲嘆...残酷すぎる「緩慢な処刑」、少女が生き延びるのは極めて難しい
  • 3
    カマラ・ハリスの大統領選討論会「圧勝」が、もはや無意味な理由
  • 4
    「大統領選敗北なら2年以内にイスラエル消滅」トラン…
  • 5
    中東は全面戦争に突入寸前、レバノンは「もう一つの…
  • 6
    メーガン妃に大打撃、「因縁の一件」とは?...キャサ…
  • 7
    「妊娠中絶も処罰の対象に」北朝鮮でも少子化、出生…
  • 8
    トランプの勝利確率は6割超、世論調査では見えない「…
  • 9
    「LINE交換」 を断りたいときに何と答えますか? 銀座…
  • 10
    「冗長で曖昧、意味不明」カマラ・ハリスの初のイン…
  • 1
    キャサリン妃の「外交ファッション」は圧倒的存在感...世界が魅了された5つの瞬間
  • 2
    がん治療3本柱の一角「放射線治療」に大革命...がんだけを狙い撃つ、最先端「低侵襲治療」とは?
  • 3
    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受ける瞬間の映像...クラスター弾炸裂で「逃げ場なし」の恐怖
  • 4
    世界で最も華麗で高額な新高層ビルに差す影
  • 5
    クローン病と潰瘍性大腸炎...手ごわい炎症性腸疾患に…
  • 6
    浮橋に集ったロシア兵「多数を一蹴」の瞬間...HIMARS…
  • 7
    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…
  • 8
    メーガン妃に大打撃、「因縁の一件」とは?...キャサ…
  • 9
    レザーパンツで「女性特有の感染症リスク」が増加...…
  • 10
    先住民が遺した壁画に「当時の人類が見たはずがない…
  • 1
    「LINE交換」 を断りたいときに何と答えますか? 銀座のママが説くスマートな断り方
  • 2
    エリート会社員が1600万で買ったマレーシアのマンションは、10年後どうなった?「海外不動産」投資のリアル事情
  • 3
    年収分布で分かる「自分の年収は高いのか、低いのか」
  • 4
    「まるで別人」「ボンドの面影ゼロ」ダニエル・クレ…
  • 5
    森ごと焼き尽くす...ウクライナの「火炎放射ドローン…
  • 6
    「もはや手に負えない」「こんなに早く成長するとは.…
  • 7
    「あの頃の思い出が詰まっている...」懐かしのマクド…
  • 8
    止まらない爆発、巨大な煙...ウクライナの「すさまじ…
  • 9
    「ローカリズムをグローバルにという点で、Number_i…
  • 10
    中国の製造業に「衰退の兆し」日本が辿った道との3つ…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中