ニュース速報

ビジネス

原油下落による物価下落で追加緩和不要=本田内閣官房参与

2015年03月03日(火)18時16分

 3月3日、本田内閣官房参与は原油価格下落の影響で消費者物価指数はしばらく上昇しないが、経済の基調は改善を続けており、日銀が追加緩和に踏み切る必要は当面ないの見解を示した。写真は黒田日銀総裁、2014年11月撮影(2015年 ロイター/Toru Hanai)

[東京 3日 ロイター] - 安倍晋三首相の経済アドバイザーを務める本田悦朗・内閣官房参与は3日、ロイターに対して、原油価格下落の影響で消費者物価指数はしばらく上昇しないが、経済の基調は改善を続けており、日銀が追加緩和に踏み切る必要は当面ないの見解を示した。

私見として述べたが、首相に影響力の大きい本田氏の発言として注目されそうだ。

本田氏は「金融政策は需要に働きかけるものだが、現在の物価下落は原油価格の下落という供給要因で起きている」と指摘。日本経済の潜在的な供給力と需要のずれを示す「需給ギャップが改善している」うえ、「4月以降は昨年の消費増税の影響がはけ、実質賃金がプラスに転じる」など景気の好循環が今年は期待できると強調し、物価も「年末にかけて自然に上昇する公算が大きい」との見通しを示した。

このため、「今後原油価格が上昇に転じても消費者物価指数が上昇しないような事態にならない限り、追加緩和は不要」と述べた。

産業界を中心にドル120円以上の円安が急速に進むことに対して反発が強いが、「為替はどの水準が適当とは言えない」としつつ、「購買力平価でみてもやや円安で、今の水準に問題がない」との認識を示した。

今年の3月で日銀は黒田東彦総裁の就任2年を迎え、4月には現在の量的・質的緩和(QQE)のスタートから2周年を迎える。日銀は「2年程度で2%」の物価目標を旗印にしてきた。その後2度にわたり達成期限を後ずらし、現在は2015年末の目標達成をかかげながら「2年程度で達成する」との謳い文句を堅持している。

本田氏は「原油価格の急落は予想ができなかったのだから、2年で達成できないのは仕方がない。しかし(2年程度で達成との)目標を外すと(人々の物価観である)期待インフレ率が落ちてしまう」とし、2年程度で2%との文言維持が望ましいとの見解を示した。

(竹本能文 編集:内田慎一)

ロイター
Copyright (C) 2015 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

中国乗用車販売、8月は5カ月連続減少 新エネ車は好

ビジネス

EU経済再生、大規模な投資と改革必要=ドラギ氏報告

ワールド

台湾輸出、8月は予想上回る伸びで過去最高 米国向け

ビジネス

アングル:国内勢が過去最大の対外投資、拭いきれぬ円
MAGAZINE
特集:日本政治が変わる日
特集:日本政治が変わる日
2024年9月10日号(9/ 3発売)

派閥が「溶解」し、候補者乱立の自民党総裁選。日本政治は大きな転換点を迎えている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「まるで別人」「ボンドの面影ゼロ」ダニエル・クレイグの新髪型が賛否両論...イメチェンの理由は?
  • 2
    【現地観戦】「中国代表は警察に通報すべき」「10元で7ゴール見られてお得」日本に大敗した中国ファンの本音は...
  • 3
    「令和の米騒動」その真相...「不作のほうが売上高が増加する」農水省とJAの利益優先で国民は置き去りに
  • 4
    ロシア国内の「黒海艦隊」基地を、ウクライナ「水上…
  • 5
    メーガン妃が自身の国際的影響力について語る...「単…
  • 6
    ウクライナ水上ドローンが、ヘリからの機銃掃射を「…
  • 7
    強烈な炎を吐くウクライナ「新型ドローン兵器」、ロ…
  • 8
    メーガン妃の投資先が「貧困ポルノ」と批判される...…
  • 9
    森に潜んだロシア部隊を発見、HIMARS精密攻撃で大爆…
  • 10
    国立西洋美術館『モネ 睡蓮のとき』 鑑賞チケット5組…
  • 1
    「まるで別人」「ボンドの面影ゼロ」ダニエル・クレイグの新髪型が賛否両論...イメチェンの理由は?
  • 2
    森ごと焼き尽くす...ウクライナの「火炎放射ドローン」がロシア陣地を襲う衝撃シーン
  • 3
    エリート会社員が1600万で買ったマレーシアのマンションは、10年後どうなった?「海外不動産」投資のリアル事情
  • 4
    中国の製造業に「衰退の兆し」日本が辿った道との3つ…
  • 5
    国立西洋美術館『モネ 睡蓮のとき』 鑑賞チケット5組…
  • 6
    大谷翔平と愛犬デコピンのバッテリーに球場は大歓声…
  • 7
    【現地観戦】「中国代表は警察に通報すべき」「10元…
  • 8
    エルサレムで発見された2700年前の「守護精霊印章」.…
  • 9
    「令和の米騒動」その真相...「不作のほうが売上高が…
  • 10
    死亡リスクが低下する食事「ペスカタリアン」とは?.…
  • 1
    ウクライナの越境攻撃で大混乱か...クルスク州でロシア軍が誤って「味方に爆撃」した決定的瞬間
  • 2
    寿命が延びる「簡単な秘訣」を研究者が明かす【最新研究】
  • 3
    エリート会社員が1600万で買ったマレーシアのマンションは、10年後どうなった?「海外不動産」投資のリアル事情
  • 4
    電子レンジは「バクテリアの温床」...どう掃除すれば…
  • 5
    ハッチから侵入...ウクライナのFPVドローンがロシア…
  • 6
    年収分布で分かる「自分の年収は高いのか、低いのか」
  • 7
    日本とは全然違う...フランスで「制服」導入も学生は…
  • 8
    「棺桶みたい...」客室乗務員がフライト中に眠る「秘…
  • 9
    ウクライナ軍のクルスク侵攻はロシアの罠か
  • 10
    「あの頃の思い出が詰まっている...」懐かしのマクド…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中