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午後のドルは119円後半でこう着、レンジ抜け見えず

2015年03月03日(火)16時29分

[東京 3日 ロイター] - 午後3時のドル/円は、ニューヨーク市場午後5時時点に比べドル安/円高の119円後半。過去3カ月のレンジ上限とみなされている120円半ばを目の前に、実需の売りや投機筋の売りが目立った。日経平均が前日比でマイナス圏に下落すると、ドル/円も119円台後半に沈んだ。

要人発言を受けて上値が重かった一方、押し目買いによる下支えも意識され、こう着感が強まった。

ドルは午前の取引で、実需や投機筋の売りにより120円台前半で伸び悩んだ後、株価の下げ幅拡大に合わせて120円を割り込んだ。大台割れの水準では損失確定売りを巻き込み、一時下げ足を速めた。

午後は狭いレンジで小動きとなり、こう着感が強まった。日経平均株価は午前の下げからは持ち直したもののマイナス圏にとどまり、「最近のドル/円は株価との連動性が低下してるとはいえ、株価がさえない中ではさすがにドルは買い進められない」(国内金融機関)との声が出ていた。

市場では「120円台は最近のレンジの上限で、実需筋、投機筋ともに売りが出やすいことに加え、当局サイドから円安抑制的なコメントが出ることに対する警戒感もある」(運用会社)という。

実際、内閣官房参与の本田悦郎静岡県立大学教授は、米ウォールストリートジャーナル紙とのインタビューで、ドル/円相場は購買力平価が示唆する「コンフォート・ゾーン」の上限にあるとの認識を示し、一部の参加者の間で話題を呼んだ。本田氏は、日銀は追加緩和を当面、控えるべきとの見方も示した。

一方、週末に予定される米雇用統計の発表をにらんで、ドル119円半ばでは押し目買いに動く向きもいるといい、底堅さも意識されていた。

<120円半ばの上抜けが焦点に>

テクニカル面では「120円台は半ばから後半を上抜けできるか否かが焦点。12月半ば以降、ドルは120円半ばから後半で何度も押し戻されており、過去3カ月間のレンジの上限になっている」と、みずほ証券・投資情報部、チーフFXストラテジストの鈴木健吾氏はみている。

この上限を上抜けるには、週後半の欧州中央銀行(ECB)理事会でユーロ安からドル高が勢いづく、または週末の米雇用統計でドル買いが盛り上がるなど、円サイドの要因というよりはむしろ外部要因が必要だという。

<豪ドル反発は一時的か、追加利下げ期待根強い>

午後3時の豪ドル/米ドルは0.7834米ドル付近、豪ドル/円は93.74円付近。

豪中銀(RBA)による追加利下げへの思惑が高まっていた中で、オフィシャル・キャッシュレートの2.25%での据え置きが発表され、豪ドル/米ドルは一時0.7835米ドル、豪ドル/円は93.75円まで上昇した。

ただ、その後はきょうの高値圏で横ばい推移となり、伸び悩んだ。JPモルガン・チェース銀行のチーフFX/EMストラテジスト、棚瀬順哉氏は、RBAの政策は「今回据え置きでも、先行き利下げをしないというわけではない」(棚瀬氏)として、先行きの利下げへの思惑が残りやすいとの見方を示す。市場では「豪ドルの反発は一時的にとどまるのではないか」(金融機関)との声も出ていた。

今後の豪ドル相場について棚瀬氏は、米ドルのトレンド次第だとみており「ドル全面高なら豪ドルの上値は限定的になるだろう」と指摘している。

RBAは、成長率は引き続きトレンドを下回るペースで推移するとの認識を示すとともに、将来、一段の緩和が適切となる可能性があるとした。

<ユーロ/円はドル/円下落の余波受ける>

この日のユーロ/円は134円前半で推移していたが、ドル/円での円高進行のあおりで一時133.87円まで下落した。

前日は、2月のユーロ圏消費者物価指数(HICP)速報値が前年比マイナス0.3%(予想はマイナス0.4%)と1月のマイナス0.6%から低下幅が縮小したことなどを受け、134.60円まで上昇したが、ドル高の勢いが勝り伸び悩んだ。

ECBは5日の理事会で、量的緩和(QE)の具体策を示し、買い入れの詳細を明らかにするとみられている。

バークレイズは2月26日付顧客向けのレポートで、QE序盤では、欧州国債以外に投資する機会費用や規制面での考慮から、欧州銀が欧州国債をECBへ大量に売却することには慎重になると予想を示した。ただし、欧州銀が満期が短く利回りが低い国債を売却し、より満期が長く利回りが高い国債に置き換える可能性はあるという。

       ドル/円   ユーロ/ドル ユーロ/円

午後3時   119.61/63 1.1195/99 133.91/95

正午現在   119.67/69 1.1192/96 133.94/98

午前9時現在 120.21/23 1.1175/79 134.34/38

NY午後5時 120.12/14 1.1183/84 134.36/40

(為替マーケットチーム)

ロイター
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