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焦点:米アップルのダウ指数組み入れは時間の問題、条件はクリア

2015年03月03日(火)13時13分

 3月3日、アップルが最も価値のある米国企業であることに疑問の余地はないが、同社はまだ「エリート集団」の仲間入りを果たしていない。写真は、アップルのロゴ、2014年撮影(2015年 ロイター/Yuya Shino)

[ニューヨーク 2日 ロイター] - アップルが最も価値のある米国企業であることに疑問の余地はないが、同社はまだ「エリート集団」の仲間入りを果たしていない。

つまり、ダウ工業株30種指数<.DJI>に組み入れられていないのだ。

アップル株は最近、過去最高値をつけており、ダウ指数に採用されていなくとも、アップルにとっては問題ではないのかもしれない。しかし、アップル株が組み入れられていないというのは、ダウ指数に連動した投資を行っている人にとっては、望ましくない状況と言えるだろう。

アップルが昨年6月6日、1株を7株に分割する株式分割を実施して以来、アップル株のリターンは配当を含めて43%超に達しており、ナスダック100指数<.NDX>のリターン(18.6%)のほぼ3分の1に寄与している(ETFドットコム調べ)。それと対照的に、ダウのリターンは同時期、8.97%にとどまっており、アップルを組み入れているS&P総合500種指数のリターンの9.56%を下回っている。

アップルが昨年6月、ダウ工業株30種指数を構成する30銘柄のうち29銘柄のどれかと入れ替わっていたら、ダウは現時点よりも上昇していた。唯一の例外はビザで、ビザの代わりにアップルが採用されたとすれば、ダウは今よりも値下がりしていた。仮にアップルの株式分割以来13%超下落しているIBMが外れ、アップルが組み入れられたとすれば、ダウの2月27日終値は1万8132.70となり、実際よりも450ポイント高くなる(上昇率で言えば、配当を勘案しないベースで9.8%と、実際の7.1%を上回る計算になる)。

<ダウの構成銘柄入れ替えは稀>

では、消費者やハイテク業界への影響がこれほど大きく、株価も高騰しているアップルがなぜダウ工業株30種指数に組み入れられないのか。アップル株が2000年1月以来、株式分割調整後ベースで3500%上昇しているのに対し、ダウは同時期55%しか上昇していない。

マグロウヒル・フィナンシャル傘下のS&Pダウ・ジョーンズ・インデックスが指数の構成銘柄を入れ替えるのは稀。入れ替えるのは、構成銘柄が買収された場合など、やむを得ない場合に限られる。

直近の構成銘柄入れ替えは2013年9月。このときには、アルコア、ヒューレット・パッカード(HP)、バンク・オブ・アメリカが外され、ビザ、ナイキ、ゴールドマン・サックスが新たに採用された。銘柄入れ替えの理由は、外された3銘柄の株価低迷が直接的な理由だが、当時発表されたS&Pの声明によると、構成銘柄の産業グループを多様化する目的もあったようだ。

<アップル、ダウ採用条件すべて満たす>

S&Pダウ・ジョーンズ・インデックスがウェブサイト上に掲載しているガイドラインによると、ダウ工業株30種指数に採用する条件は「高い評価、持続的な成長」のほか「多数の投資家が関心を持っていること」という。アップルは条件をすべて満たしていると言えるだろう。

さらに、S&Pによると「構成銘柄が所属するセクターのバランスが指数内で適切かどうかも、銘柄選定の過程で考慮する材料の1つ」。

1月末現在、ダウの9.47%がハイテクセクターで、ハイテクは指数を構成する9セクター中5位。S&P500ではハイテクが19.9%を占めることを踏まえると、アップルのダウ採用は一層正当化される。また、アップルが消費者・メディア企業としての評価も高いことを踏まえると、アップルがダウに加わる日は遠くはないかもしれない。

(Rodrigo Campos記者、Chuck Mikolajczak記者 翻訳:吉川彩 編集:加藤京子)

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