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早期の物価2%達成が最重要と考え変わらず=黒田日銀総裁

2015年02月26日(木)18時01分

 2月26日、日銀の黒田東彦総裁は午後の参院財政金融委員会で、2%の物価目標達成が最重要との考えに変わりはないと明言した。無所属クラブの中西健治委員への答弁。都内で2月撮影(2015年 ロイター/Toru Hanai)

[東京 26日 ロイター] - 日銀の黒田東彦総裁は26日午後の参院財政金融委員会で、2%の物価目標達成が最重要との考えに変わりはないと明言した。無所属クラブの中西健治委員への答弁。

中西委員は、政府が1月の月例経済報告で、2%の物価目標達成に関する表現を「できるだけ早期に」から「経済・物価情勢を踏まえつつ」に変更した経緯を質問。甘利明経済再生担当相も、日銀の目標達成時期について、2年から余裕をもってよい、と発言したのを踏まえ、日銀は今でもできるだけ早期の物価目標達成が最重要かと尋ねた。黒田総裁は「その通り」と答えた。

2013年1月に、発足直後の安倍政権と日銀が結んだ共同声明が、日銀による2%目標の早期達成と、政府による機動的な財政運営と成長戦略の実施をうたっている点を指摘し「共同声明は活きている」と強調した。

また、総裁は大塚耕平(民主党)委員らへの答弁で、消費者物価指数(CPI)は2016年度末までには「当然、2%に達している」との見通しを示した。

大塚委員は、黒田日銀総裁に物価2%の達成の時期について質問した。総裁は「政策委員の見通しが16年度2.2%となっており、16年度末までには当然2%に達している」と述べた。

大塚委員は、日銀が16年度末まで現在の政策を継続するとデメリットが大きくなると指摘。家計が受け取れるはずの利子がどの程度失われるか聞いた。これに対し同総裁は、93年度における受け取り利子額29兆円を、その後13年度まで20年間受け取ったと仮定した場合と比較して、実際に受け取れた金額は380兆円少なかった、と回答した。

さらに、大塚委員は日銀が開始した金融機関の超過準備預金への付利の金額についても質問。総裁は08年11月の開始以降、14年度上期までの付利の累計は2256億円であることを明らかにした。

また、現在の日銀の政策は、将来の国債市場に与える影響が大きくなりかねないというデメリットがあることに関連し、大塚委員はマネタリーベースあるいはバランスシートの対国内総生産(GDP)比拡大の見通しを持ちながら運営しているのか質問した。

総裁は「日銀のバランスシートは15年1月末ですでにGDP比で63.5%になっている。これがさらに拡大していくのは事実。どこまで拡大させるべきかはあくまで物価2%の安定持続にかかっている」と述べた。また大塚委員は、米国ではマネタリーベースないしバランスシートについて対GDP比でのシーリングを設けていると指摘したが、総裁は日銀に関して「シーリングは特段設けていない」とした。

総裁は量的・質的緩和の出口について「2%の物価安定目標を実現し、安定的に推移するようになれば、現在の量的・質的緩和を続けることはない」との考えを示した。

緩和政策の終了に向け「出口は、金融資本市場や経済状況に応じて、適切な形をとらなければならない」とした。そのうえで「米国のような形でなければならないとか、再投資を縮小あるいは停止するとか、(そういうことが)バランスシートの取り扱いの可能性のひとつであることは事実」と述べた。ただ、「今の時点で出口のことを言うのは時期尚早だ」と従来の見解を繰り返した。

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