ニュース速報

ビジネス

イエレン米FRB議長の議会証言要旨

2015年02月26日(木)04時59分

 2月25日、イエレン米FRB議長は下院金融委員会で証言を行った。写真はワシントンで同日撮影(2015年 ロイター/Jim Bourg)

[ワシントン 25日 ロイター] - イエレン米連邦準備理事会(FRB)議長は25日、下院金融委員会で半期に一度の証言を行った。内容は以下の通り。

<経済の「ニューノーマル」>

ようやく完全雇用、または潜在能力の水準で稼動している状況に近付いている。

長期的な国内総生産(GDP)の伸びの「ニューノーマル」がどの程度になるのかまだ分からない。生産性の伸びは非常に鈍く、これが「ニューノーマル」となれば極めて深刻な状況だ。

<賃上げ>

雇用市場が力強さを増せば、企業は求める人材の確保がより困難になり、賃金に上昇圧力がかかる。その点において、これは経済、および雇用市場が改善しているとの良い兆候であると望む。

<金融安定>

金融システムははるかに安全だと確信している。大手銀行は危機以前に比べて、2倍の質の高い資本を保有している。この問題への対処が終わったという訳ではなく、検討段階のものがまだある。

<格差>

所得格差はここにいる全員が懸念しなければならない問題。

政治的な発言をしているのではない。米国が直面する重大な問題について話している。(10月に行った)講演で、いかなる政策提言も行っていない。

<インフレ率>

インフレ率は今後低下し、その後上昇に向かうと考える。輸入物価はドル(高)を背景に低下傾向にあり、原油安が大きな影響を与えている。ただこれらの要因が及ぼす影響は一時的とみている。とりわけ労働市場の改善を受けて、向こう2━3年の中期的なインフレ率は2%の目標に向けて上昇すると予想している。

<利上げ開始後の緩和措置>

短期金利の誘導目標を引き上げ始める時期が到来しても、われわれは経済に対し多大な支援を提供し続け、雇用市場の改善が確実に継続するようにする。

<銀行の「生前遺言」>

各金融機関が破綻時の処理計画「生前遺言(リビングウィル)」を再提出する今年7月までに、非常に有意義な改善がみられるよう取り組んでいる。一部最大手行は、われわれが提案した線に沿って合法的な法人の数を減らす方向で、非常に有意義な手段を講じている。再提出計画にそうした、われわれが期待する水準の進展がみられなければ、(その計画は)信用できない。

<現物商品>

米連邦準備理事会(FRB)は、現物商品(コモディティ)取引について慎重に見直しを行っている。安全性や健全性をめぐる懸念が出ていることに関し、われわれは年内に新たな規則案を提案する可能性が高い。

<FRBの独立性>

FRBは独立した機関であって、FRBが行う金融政策運営もしくは政策対応について、財務長官や行政機関と討議することはない。経済および金融システムについては定期的に協議しており、主要7カ国(G7)や20カ国・地域(G20)などの国際会議にも共同で参加し、その時々の諸問題について話し合っている。

さらに申し上げたいことは、FRBは議会に対して説明責任があり、そのことは言うまでもなく重要だということだ。わたし個人とFRBは、適切な監督に向け、あらゆる必要な情報を議会に提出する用意がある。

*内容を追加して再送します。

ロイター
Copyright (C) 2015 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

「コーチ」の「マイケル・コース」買収阻止へ訴訟の審

ワールド

WTO、保護主義政策を批判 関税は低所得層により深

ワールド

大手商社、原油は60-70ドルで推移と予想 供給過

ワールド

ドイツ、全ての陸上国境管理で不法移民に対応 16日
MAGAZINE
特集:ニュースが分かる ユダヤ超入門
特集:ニュースが分かる ユダヤ超入門
2024年9月17日/2024年9月24日号(9/10発売)

ユダヤ人とは何なのか? なぜ世界に離散したのか? 優秀な人材を輩出した理由は? ユダヤを知れば世界が分かる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「まるで別人」「ボンドの面影ゼロ」ダニエル・クレイグの新髪型が賛否両論...イメチェンの理由は?
  • 2
    ロシア国内の「黒海艦隊」基地を、ウクライナ「水上ドローン」が襲撃...攻撃の様子捉えた動画が拡散
  • 3
    メーガン妃が自身の国際的影響力について語る...「単にイヤリングをつけるだけ」
  • 4
    非喫煙者も「喫煙所が足りない」と思っていた──喫煙…
  • 5
    ウクライナ水上ドローンが、ヘリからの機銃掃射を「…
  • 6
    歯にダメージを与える4つの「間違った歯磨き」とは?…
  • 7
    「令和の米騒動」その真相...「不作のほうが売上高が…
  • 8
    伝統のカヌーでマオリの王を送る...通例から外れ、王…
  • 9
    強烈な炎を吐くウクライナ「新型ドローン兵器」、ロ…
  • 10
    国立西洋美術館『モネ 睡蓮のとき』 鑑賞チケット5組…
  • 1
    「まるで別人」「ボンドの面影ゼロ」ダニエル・クレイグの新髪型が賛否両論...イメチェンの理由は?
  • 2
    森ごと焼き尽くす...ウクライナの「火炎放射ドローン」がロシア陣地を襲う衝撃シーン
  • 3
    国立西洋美術館『モネ 睡蓮のとき』 鑑賞チケット5組10名様プレゼント
  • 4
    【現地観戦】「中国代表は警察に通報すべき」「10元…
  • 5
    エルサレムで発見された2700年前の「守護精霊印章」.…
  • 6
    「令和の米騒動」その真相...「不作のほうが売上高が…
  • 7
    中国の製造業に「衰退の兆し」日本が辿った道との3つ…
  • 8
    世界最低レベルの出生率に悩む韓国...フィリピンから…
  • 9
    「私ならその車を売る」「燃やすなら今」修理から戻…
  • 10
    エリート会社員が1600万で買ったマレーシアのマンシ…
  • 1
    ウクライナの越境攻撃で大混乱か...クルスク州でロシア軍が誤って「味方に爆撃」した決定的瞬間
  • 2
    寿命が延びる「簡単な秘訣」を研究者が明かす【最新研究】
  • 3
    エリート会社員が1600万で買ったマレーシアのマンションは、10年後どうなった?「海外不動産」投資のリアル事情
  • 4
    電子レンジは「バクテリアの温床」...どう掃除すれば…
  • 5
    ハッチから侵入...ウクライナのFPVドローンがロシア…
  • 6
    年収分布で分かる「自分の年収は高いのか、低いのか」
  • 7
    日本とは全然違う...フランスで「制服」導入も学生は…
  • 8
    「棺桶みたい...」客室乗務員がフライト中に眠る「秘…
  • 9
    「まるで別人」「ボンドの面影ゼロ」ダニエル・クレ…
  • 10
    ウクライナ軍のクルスク侵攻はロシアの罠か
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中