コラム

イスラエルのスパイ容疑で捕まったワシ

2011年01月12日(水)16時11分

 サウジアラビアのバンダル・ビン・サウド・アル・サウド王子によれば、イスラエルのスパイ容疑で捕まった「R65」は、近く釈放される予定だという。「R65」は、GPSタグを付けてサウジ上空の飛行禁止区域を侵犯したハゲワシの一種。タグにはヘブライ語の文字が書かれていた。


 「GPS発信器を使った偵察システムは、鳥や動物、海洋生物にも取り付けられる。ほとんどの国は動物をスパイに使っているし、サウジアラビアもその一つだ」と、サウド王子は日曜にサウジのメディアに語った。「捕獲した鳥は、その装置の性質が解明でき次第解放する」

 サウドはイスラエルを弁護するわけではないと強調すると同時に、冷静になるようメディアに求めた。

「サウジのジャーナリストのなかには、スクープ欲しさに情報を確かめもせず、鳥のニュースを流すものがいた」と彼は言う。「報道する前に、然るべき筋に確認すべきだった」


 

 これは間違いなく朗報だ。いくらハゲワシだろうと、無実の鳥がでっち上げの容疑で拘束されていいわけがない。今もサウジ上空を旋回していると言われる、R65の同僚の無事も祈りたい。

 だが中東政治の現実を考えると、生態観察用にこのハゲワシを放鳥したと主張するテルアビブ大学の研究者も、今後はこんな紛らわしいタグを付けるのは止めたほうがいいだろう。いくらイスラエルのハゲワシといえども、国境を見分けることはできないのだから。

──ジョシュア・キーティング
[米国東部時間2011年1月11日(火)14時34分更新]

Reprinted with permission from FP Passport, 12/1/2011. © 2011 by The Washington Post Company.

プロフィール

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国際政治学者サミュエル・ハンチントンらによって1970年に創刊された『フォーリン・ポリシー』は、国際政治、経済、思想を扱うアメリカの外交専門誌。発行元は、ワシントン・ポスト・ニューズウィーク・インタラクティブ傘下のスレート・グループ。『PASSPORT:外交エディター24時』は、ワシントンの編集部が手がける同誌オンライン版のオリジナル・ブログ。

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