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ForeignPolicy.com 外交エディター24時
スキャナー拒否のパキスタン訪米団が英雄に
アメリカとパキスタンの関係は、常に中核となるいくつかの課題に左右されている。たとえばパキスタンの秘密警察、軍統合情報局(ISI)が、CIA(米中央情報局)とタリバンの両方と取引している問題や、アメリカとインドが05年に基本合意した原子力協定、そしてパキスタンの核安全保障など。重要には違いないがいつも同じ話ばかりなので、たまに目先の変わった悶着が起きると新鮮な感じがする。
3月7日、ロナルド・レーガン・ワシントン・ナショナル空港で起った一件がまさにそうだ。オバマ政権高官に会うためワシントンを訪れていたパキスタン議員の代表団が、X線スキャナーによる身体検査を拒絶。次の訪問地であるニューオーリンズ行きの飛行機への搭乗を拒否された。
パキスタンは、普通の国より厳重な検査を受けなければならない14のイスラム教国の一つ。議員たちは気分を害し、次の飛行機で憤然とパキスタンに帰ってしまった。「テロリスト扱い」を拒絶して帰国した彼らは、テレビに出演するなどパキスタンの英雄扱いだという。釈明に追われて大変だったのは、イスラマバードの米国大使館と協力してパキスタン議員団の訪米ツアーを企画した米国務省だ。
深刻な外交問題に発展するほどの話ではない。それでもこの事件は、パキスタン政府との関係改善と国家安全保障というしばしば相反する2つの課題の間で綱渡りをするアメリカ外交の難しさを象徴している。
──ピーター・ウィリアムズ
[米国東部時間2010年03月10日(水)16時33分更新]
Reprinted with permission from FP Passport, 10/3/2010. © 2010 by Washingtonpost.Newsweek Interactive, LLC.
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