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ForeignPolicy.com 外交エディター24時
ユーロ離脱は絵に描いた餅
Yiorgos Karahalis-Reuters
ギリシャに、ユーロからの「一時休暇」を認めるべきだ──ハーバード大学のマーティン・フェルドスタイン教授(経済学)は2月16日の英フィナンシャル・タイムズ紙でこう主張した。ユーロから離脱できれば、通貨切り下げによって現在の厳しい経済状況から抜け出すことができるというのだ。
いいアイデアだが、絵に描いた餅にも思える。カリフォルニア大学バークレー校のバリー・アイケングリーン教授(経済学)はその理由をこう説明する。
手続き的な障害の大きさを考えると、ユーロ離脱はほとんど不可能だ。自国通貨に復帰するには、賃金から預金、債券、住宅ローン、税金等を含むありとあらゆる契約を自国通貨建てに直さなければならない。民主主義国においてはこれは、徹底的な議論を要する問題だ。
通貨の移行を円滑に進めるためには、周到な計画も必要だ。コンピューターのプログラムを書き換える。自動販売機を新通貨用に改造する。ユーロの流通開始に備えて行われた大々的な準備作業を思い起こせばわかる。
そしてそれには、巨額の費用もかかる。ギリシャは負担したがらないかもしれない。
簡単な計算をしてみよう。ユーロ圏がユーロ紙幣の流通を始めた02年、フランスの大手銀行BNPパリバはその移行費用を1600億〜1800億ユーロ(現在価値では1880億〜2120億ユーロ)と試算した。ギリシャの経済規模はユーロ圏全体の2.5%なので、ギリシャの通貨移行費用は47〜53億ユーロになる可能性がある。
これなら、ギリシャでも払えるかもしれない。ギリシャ政府が今年中に借り換えようとしている借金530億ユーロに比べれば大した額ではない。
だがこの推定費用には、企業や個人、銀行が負担することになる巨額の費用や、ユーロからギリシャ通貨への復帰を実現する政治的労力が入っていない。
フェルドスタインのアイデアは素晴らしいが、やっぱり実現はしそうにない。
──アニー・ラウリー
[米国東部時間2010年02月17日(水)11時31分更新]
Reprinted with permission from FP Passport, 18/2/2010.© 2010 by Washingtonpost.Newsweek Interactive, LLC.
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