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ForeignPolicy.com 外交エディター24時
「冷戦」南米は軍拡なのに平和
今から20年前の1989年11月9日、ベルリンの壁が崩壊し、ほどなくして冷戦は終結に向かった。だが当時を懐かしんでいるとしたら、「アンデス山脈の冷戦」に目を向けるといい。東西冷戦ほどの緊迫感や核戦争などの悪夢のシナリオも到底あり得ないが、それでもスリルがある。
ベネズエラのウゴ・チャベス大統領がコロンビアとの国境に軍隊を配備するなか、ペルー政府は南米諸国に対して地域安全保障軍の創設に加え、各国に兵器購入の削減を呼びかけている。ペルー政府によると、ブラジルのルイス・イナシオ・ルラ・ダシルバ大統領はこの提案に理解を示しており、来週にはコロンビアとパラグアイの両大統領と協議するという。
ペルーの提案の背景には隣国チリに対する不信感があるにせよ、近年、南米諸国の軍事費が急増してきたことも事実。03年から08年にかけて南米の軍事費は倍増し、600億ドルに達したとの推計もある。米政府の推計によると、ブラジル、ベネズエラ、チリ、そしてコロンビアが南米全体の兵器購入額の80%を占めている。ヒラリー・クリントン米国務長官も、南米が軍拡競争に突入することを警戒してきた。
もちろん、専門家がここ数年間指摘してきた通り、最大の懸念は国家間の戦争ではなく、むしろ資源絡みで生じる暴力だ。ノーベル平和賞を受賞したコスタリカのオスカル・アリアス・サンチェス大統領でさえ、兵器購入に反対しつつも、南米地域が今ほど平和だったことはなかったと指摘している。
――ジョルダナ・ティマーマン
[米国東部時間2009年11月09日(月)17時05分更新]
Reprinted with permission from FP Passport, 09/11/2009. © 2009 by Washingtonpost.Newsweek Interactive, LLC.
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