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ForeignPolicy.com 外交エディター24時
民主主義は独裁より安上がりか?
ロサンゼルス・タイムズ紙に、今も続くジンバブエの悲惨な人権蹂躙(じゅうりん)に関する記事が掲載された。
人権擁護団体アムネスティ・インターナショナルは6月18日、ジンバブエでは深刻な人権侵害が続いていると述べ、ロバート・ムガベ大統領の与党が暴力を有用な政治的手段と考えていると非難した。
6日間ジンバブエに滞在したアムネスティのアイリーン・カーン事務総長は、人権向上には資金が足りないとする政府の弁明を退けた。
「人権活動家への攻撃を止め、メディアへの制限を取り除き、市民による抗議行動を許可するのに資金は必要ない。必要なのは政治的意思だけだ」と、彼女は声明の中で述べた。
しかしイランで大統領選挙後に起きている状況を見ると、ある疑問も浮かんでくる。独裁政治と民主主義はどちらが高くつくのだろう?
カーンの声明は直感的にはとても正しく思える。デモを許し、メディアに書きたいことを書かせ、NGO(非政府組織)を機能させることは、彼らを監視したり抑圧するより安上がりだ。警察国家には金がかかる。
しかし作家のポール・コリアーが指摘するように、独裁者が国の民主化を進めると自分の権力を失いかねず、権力を失いたくなければ国民の幸福を維持しなければないが、大抵それには金がかかる。
苦労して集めた税金や天然資源による収入、外国からの援助資金をなぜ学校や病院の建設に使わなければならないのか。機動隊に新しい警棒を買い与え、残った金をスイス銀行の自分の口座に送金することもできるというのに。
さまざまな統計を掲載するウェブサイト、ネイションマスターのデータからは、GDP(国内総生産)に占める政府支出の割合と、国の政治体制の間に大きな相関関係は見られない。全体主義国家の中にはこの割合が非常に高い国(キューバは57%)も、非常に低い国(トルクメニスタンは13%)もある。
ジンバブエの割合はかなり高い。だが国の経済の根本がかなりゆがんでいるため、データは多くを意味しない。
それでも私はカーンの声明は間違っていると思う。ジンバブエの現状は、市民を抑圧して富をエリートに集中させるという前提に立っている。この国を民主主義に改宗し、国民の福祉を増進すれば安くはすまない。
私はムガベ政権やほかの強圧的な国家を擁護しているわけではない。しかしジンバブエでもイランでも、民主化を支持する者たちは経済にも政治にもコストの問題が存在することを理解すべきだ。
――ジョシュア・キーティング
Reprinted with permission from FP Passport, 22/6/2009. © 2009 by Washingtonpost.Newsweek Interactive, LLC.
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