リビアに散った2人の戦場カメラマン

Finbarr O'Reilly-Reuters
既に多くの読者が知っているはずだが、世界屈指の戦場カメラマンが20日、リビアで取材中に亡くなった。同国西部ミスラタ近郊で砲撃を受けたためだ。
情報は錯綜しているが、米ニューヨークタイムズ紙のC.J.シバースの書いた記事によると、カメラマンで映画監督のティム・ヘザーリントンとゲッティイメージズのカメラマン、クリス・ホンドロスが死亡した。また、パノスピクチャーズのガイ・マーティンは骨盤に重症を負って手術を受けている。
ヘザーリントンは、アフガニスタン戦争をめぐるドキュメンタリー映画『レストレポ〜アフガニスタンで戦う兵士たちの記録』の監督として知られている。同作は今年のアカデミー賞で長編ドキュメンタリー賞にノミネートされた。『レストレポ』と同じ従軍取材から生まれた写真集『INFIDEL(異教徒)』は、本誌(ニューズウィーク日本版)でも「俺たちが生きる戦場の日常」として特集した。
西アフリカでも長年活動を続けたヘザーリントンは『リベリア〜無意味な内戦』や『悪魔は馬に乗ってきた』など、アフリカの紛争を題材にしたドキュメンタリー映画でもカメラを担当した。
マーティンは南スーダンやグルジア、パレスチナに赴き、戦闘や日常生活をいきいきと記録した。それらの作品は、本人のウェブサイトで見ることができる。
■不快な写真が雄弁に物語るもの
ホンドロスの名前を知っているかどうかはともかく、彼の作品はおなじみのはずだ。9.11テロのニューヨークからイラク、アフガニスタン、エジプト・カイロのタハリール広場まで、世界のどこかで大事件が起きれば彼は必ずそこにいた。
昨年は大地震に襲われた後のハイチから印象的なフォトエッセイを送ってきた。
イラク戦争後の05年には、国民議会選挙へ向けて緊迫度を増すイラクで起こった突発的な悲劇にも立ち会った。停止命令をきかずに走り続けたため米兵が銃弾を浴びせた車に乗っていたイラク人家族の悲惨な死だ。車を運転していた父親と助手席の母親は息絶え、子供5人が残された。
「イラク人家族を襲った悲劇の銃弾」(本誌2005年2月2日号)
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彼が撮る不快なまでに衝撃的な写真の数々は、戦争の犠牲の重さを読者の心に刻み付ける。イラクの日々について、彼はこう語っている。「私が言えるのは、現場に行って目の前にあるものを写したということだけ。そこで何が起きているのか読者が分かるように、自分のベストを尽くした。自分自身が理解できない時でさえも」
彼らに何が起こったのか、詳しい情報が入り次第、記事を更新したい。今はただご家族、友人の方々にお悔やみを申し上げたい。
──ジョシュア・キーティング
[米国東部時間2011年04月20日(水)16時15分更新]
Reprinted with permission from FP Passport, 21/4/2011. © 2011 by The Washington Post Company.
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フェースブックは活動家がお嫌い?
バラク・オバマ大統領が水曜にシリコンバレーのフェースブック本社を訪問するのに合わせ、ウォールストリート・ジャーナル紙はフェースブックが最近力を入れ始めたワシントンでのロビー活動についての記事を掲載した。フェースブックが雇ったロビイストにも取材しているが、その一人の言葉はどう見てもフェースブックのイメージアップにつながるとは思えない。
「コンテンツの検閲は、国によってしたりしなかったりという方法をとるかもしれない」と、フェースブックのロビイスト、アダム・コナーは言った。「今我々はもしかすると、言論の自由の経験がない国であまりに多くの自由を認め過ぎてしまっているのかもしれない。おかげで居心地の悪い立場に追い込まれることも少なくない」
フェースブックと活動家たちの間でなぜ緊張が強まりつつあるのか、その理由がよくわかる言葉だ。活動家たちは民主化運動を組織するのにフェースブックを最大限に活用したが、フェースブックのほうはそうした使われ方を必ずしも歓迎してこなかった。例えば、マイクロソフトやグーグル、ヤフーが参加するグローバル・ネットワーク・イニシアチブ(GNI)にも参加していない。独裁国家でサイトを運営する際の行動規範を定めたもので、ユーザーの表現の自由を尊重するという宣言だ。
■言論の自由は本業と無関係?
言論の自由を広げることは、フェースブックの目的ではない。映画『ソーシャル・ネットワーク』で描かれたように大学のキャンパスライフをそのままオンラインに移植すること、でさえない。フェースブックの目的は、ユーザーが提供してくれた個人情報を広告主に売って儲けること。フェースブックが崇高な何かを目指しているという考えが誤りだったことは今やはっきりしている。
この文脈で考えれば、いま噂されているように、中国最大の検索エンジン「百度(バイドゥ)」と提携して中国語版フェースブックを立ち上げるのは当然過ぎる選択だ。もっとも、フェースブック訪問中のオバマがそんな外聞の悪いことにわざわざ言及するとは思えないが。
──ジョシュア・キーティング
[米国東部時間2011年04月20日(水)11時29分更新]
Reprinted with permission from FP Passport, 21/4/2011. © 2011 by The Washington Post Company.
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長老支配嘆くラウルの右腕は80歳
キューバのラウル・カストロ国家評議会議長(79)は、16日から開かれていた共産党大会で政府と党幹部の任期を2期10年に制限することを提案し、キューバの長老支配を嘆いてみせた。だが彼の本音は、自分の世代までは今のままの支配を続けることらしい。英ガーディアン紙は以下のように伝える。
14年ぶりに開催されたこの党大会は、革命の英雄フィデルと実弟ラウルのカストロ兄弟やその世代が出席する最後の大会になるはずだった、とラウルは言い、若手を幹部に登用する試みは失敗したと付け加えた。「人生においては常にベストの選択ができるわけではない。キューバ革命から半世紀以上を経ても尚、問題を解決できずにいるのは恥ずべきことだ」
制度的に若返りを促そうとするラウルの提案は、来年1月の党中央委員会で議論される。ラウルは08年にフィデルの後を継いで国家評議会議長の地位に就いたばかり。提案が通ればラウルは86歳まで現在の地位に留まることになる。党大会ではまた、フィデルが党第1書記を退いたのに伴い、ラウルが昇格する予定。せめて党のナンバー2ぐらいは若返るのかどうか、それも定かではない。
そして今日、ラウルは筋書き通り第1書記に昇格した。そしてラウルの後任となる第2書記に就任したのは、ホセ・ラモン・マチャド・ベントゥラ国家評議会副議長。血気盛んな80歳だ。
今党大会では、計画経済の崩壊を回避するため部分的に市場原理を導入する経済改革が承認され、中古車を新車に買い換えることも可能になるかもしれない。だが、ポンコツ指導者が引退して元気な若者に道を譲ってくれるのはまだ先のことになりそうだ。
──ジョシュア・キーティング
[米国東部時間2011年04月19日(火)12時09分更新]
Reprinted with permission from FP Passport, 20/4/2011. © 2011 by The Washington Post Company.
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中国FB会員25万人が一夜で消えた
今週初め、フェースブックが中国の検索大手「百度(バイドゥ)」と提携し、中国向けのソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)を作るという報道があった(本当に提携が成立したのかどうかは、まだ確認できていない)。これに関連し、人気ブログ「シャンハイスト」の初代編集長ジェシカ・コルウェルは、中国のフェースブック・コミュニティで実に奇妙な現象が起こっていることを発見した。
昨年12月にフェースブック創業者のマーク・ザッカーバーグが訪中したのを受けて、中国のフェースブック・ユーザー数は今年2月には倍以上に増えた。だが今月はその数が激減している。少しずつ減ったのではない。4月5日にフタを明けてみたら、ユーザーの約4割が消えていたのだ。
4月5日といえば、現代アーティスト艾未未(アイ・ウェイウェイ)が拘束された2日後だ。ひょっとすると偶然かもしれないが(そうは思えない)、ともかく25万人のフェースブック・ユーザーがネット上から掻き消えたのは間違いない。2月以降に投獄され、軟禁され、行方不明になった約250人の民主活動家と同じだ。
コルウェルは、消えたユーザーはフェースブックが禁じる偽名がばれてアカウントを閉鎖されたのかもしれないという。ちょうど、世界的に著名なブロガー、安替(アンティ)が先月、安替が本名でなくペンネームだという理由でアカウントを閉鎖されたように。だが、それにしてはあまりに人数が多過ぎる気もする。何かがおかしい。
──ジョシュア・キーティング
[米国東部時間2011年04月12日(火)17時05分更新]
Reprinted with permission from FP Passport, 14/4/2011. © 2011 by The Washington Post Company.
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ベラルーシKGBの怪しいテロ捜査
旧ソ連の独裁国家ベラルーシの首都ミンスクで11日、死者12人を出した地下鉄爆破テロに対するKGB──そう、ベラルーシは未だにこの名称を使っている──の対応を見ていると、犯人が公正に裁かれるとはとても思えない。米政府が宣伝目的で運営する自由欧州放送(RFE)は次のほうに報じている。
ベラルーシと捜査協力しているロシア連邦保安庁(FSB)のウラジーミル・ルツェンコ大佐は、罪のない一般市民を狙ったイスラム国際組織のテロであることを「100%」確信している、と語った。
「連中は平和な町で罪のない女や子供を殺し、皆を震え上がらせ、傷つける」と、ルツェンコは言う。「イラクやパキスタンではモスクを爆破し、モスクワではアパートを、アメリカでは超高層ビルを爆破する」
爆破テロの背後にはベラルーシ当局かまとまりのない反政府勢力がいるという憶測については、「馬鹿げている」と否定した。
「モスクワのテロでも同じことが言われた。FSBの自作自演だとか、プーチンが権力掌握のために市民の家を爆破しているのだとか。何度も同じようなことを聞かされてきたので、今更何を言われても驚かない」
■独裁政権には弾圧強化の好機
だがイラクやパキスタン、ロシアやアメリカと違い、ベラルーシはどう見てもイスラム聖戦士の標的リストの上位にあるとは思えない。ベラルーシでは過去にイスラム・テロが起こったこともない。過去5年間に2つの爆破事件はあったが犯人はわかっていない。外国が関与していることを示す明らかな証拠がないのであれば、犯人は国内の人間である可能性が強い。
ベラルーシ当局は数人を拘束した。誰が犯人であるにせよ、ルカシェンコ大統領がこの機に乗じて国内の治安維持と、既に完全に骨抜きにされている反政府運動への弾圧を強化するのは間違いない。
──ジョシュア・キーティング
[米国東部時間2011年04月11日(火)12時38分更新]
Reprinted with permission from FP Passport, 13/4/2011. © 2011 by The Washington Post Company.
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