World Voice

スタートアップ超大国 インド~ベンガルールからの現地ブログ~

永田賢|インド

自己紹介:スタートアップ超大国 インド~ベンガルールからの現地ブログ~

カルナータカ州政府議事堂写真、筆者撮影

今月から「スタートアップ超大国 インド~ベンガルールからの現地ブログ~」と題してWorld Voiceにてインドのベンガルールから現地ブログを執筆することになりました、永田賢(ながた さとし)と申します。

今回は初回ということで、自己紹介と私が住んでいるインドのベンガルールの街について紹介していきます。

1.自己紹介:3度の転職を経て海外転職の道へ

まずは私のキャリアから紹介します。早稲田大学政治経済学部を卒業してから、東京海上日動火災保険に新卒で入社しました。その後、実家が自営業(デイサービス、接骨院)をしていたこともあり、事業承継を視野に入れて人材系ベンチャー企業に転職してスタートアップでの働き方を学び、実家の静岡に新規事業の立ち上げのために帰りました。

ここまでは良かったのですが、残念ながら、実家の新規事業立ち上げにおいて、投資詐欺未遂に出くわしてしまいました。父と父の友人とで共同でビジネスをやる予定でしたが、いつまで経っても覚書等の書類手続きに進まず、おかしいと思ったらお金だけ欲しい詐欺まがいな展開に遭遇してしまい、その結果、新規事業を無くし、自分に課せられていたミッションが消えてしまいました。

残念ながら、当時27歳で4社目となる転職で営業&管理業務少しのプラクティスでは日本国内の転職ではかなり厳しかったというのが現実でした。となると、キャリアのリセットのためには何か画期的な選択肢を取らねばならんということになり、だったら趣向を変えて現地採用枠で海外転職しようというアイディアに落ち着きました。

海外転職に際して、森山たつを先生の「普通のサラリーマンのためのグローバル転職ガイド」等を参考にしつつ、1)日本人があまりいない、2)市場として潜在的な成長性が高そう、3)ハードそうなビジネス環境、という軸で国から選んでいきました。東南アジアだと、タイのバンコクだけでも約3万人の日本人(在タイ日本大使館データより)がおり、競合が多すぎてしまうと感じ、シンガポールと香港も魅力的ではありましたが、現地採用のポジションでは東アジア、東南アジアのエリートがひしめく競争に勝てないと痛感したので、候補から外しました。

それゆえ、最終的にはベトナムとインドに絞られました。以下は当時の比較表ですが、ベトナムも人気度が高く魅力的に見えましたが、インドのIITやIIMといった世界ランク上位に位置する大学が少ないと感じ、最終的に人材の幅が優秀そうなインドを選択するに至りました。

【当時使っていた各国比較表(データは2017年のもの、筆者独自作成)】

2.自己紹介:デリーとベンガルールで迷い、ベンガルールに転職

そして、最終段階でデリーとベンガルールで内定を頂いて、両都市を比較してみて、「ベンガルールはITとスタートアップの都市か、これは面白そうだ。」となってベンガルールを選択するに至りました。(後になって知りましたが、ベンガルールは求人があまりないそうです、ラッキーでした。)

上記の経緯を経てインドにたどり着いて今に至ります。現地採用時代は郵船ロジスティクスという郵船グループの物流会社で日系企業向け営業をしていました。取引相手がほぼほぼインド人だったことと、社内の同じチームにいた30名の社員も私以外インド人だったので、日本っぽさはなく、とてもダイナミックに働くことができました。加えて、前任の駐在員の引き継ぎがほぼ皆無で、ほぼゼロからのクライアント開拓となったのでインドにおいて、ある種貴重な0から1のプロセスを踏むことができました。

並行して、アフター5や土日の時間を使ってベンガルールのスタートアップエコシステムのプレイヤーたち(スタートアップ、アクセラプログラム、スタートアップメディア、VC、支援機関等)と御会いすることができ、野村證券の海外修練生とピッチイベントを実施することができました。この活動の過程でSAgriの坪井社長と御会いして、「インドでR&Dセンター立ち上げるから一緒にやりましょう」という言葉を頂いて、意気投合し、2019年4月からSAgriインド法人のビジネス立ち上げに従事しております。

3.ベンガルールで何をしているのか?

今、何をやっているかというと、SAgriでは、インドにおいて大きく二つの事業を展開しています。1つ目はマイクロファイナンス事業です。中小農家向けに適正レートで貸出ができるように衛星データと農業ビッグデータ(収量、天候、作物等)を相関させて、信用力に課題のある農家のマイクロファイナンスを支援しています。2つ目はデジタルトランスフォーメーションです。

日本では、さまざまなデータを用いてスマート農業の基盤を農業者と連携して実証していることに加え、行政のデジタルトランスフォーメーションを推進しています。例えば、茨城県の委託事業として、人工衛星データを用いて今までマニュアル的に目視で確認されていた耕作状況を可視化するサービスを開発しています。これらの技術・経験を応用して、農業プロセスのDX(デジタルトランスフォーメーション)を各機関と連動できるように活動しています。

(インドのスタートアップイベントでピッチをする筆者、筆者撮影、2019年)

4.インドのベンガルールとはどんな街なのか?

概略になりますが、私が住んでいるインドのベンガルールがどのような街か紹介します。日本でいうなら、「雪が降らなく、ずっと涼しいままの軽井沢」といったところでしょうか。地理的にはデカン高原があり、湿気も少なく、1年を通じて25度から30度のカラッとした気候で極めて過ごしやすい状態となっています。20年前は「ガーデン・シティ」と呼ばれ、緑が生い茂る都市だったそうです。

最近、COVID19でベンガルール内部において、人の移動量が減り、温室効果ガスの排出量が減ったからなのか、滞在4年目にして朝と昼の寒暖差ができつつあり、少し寒いなと思う機会が増えてきました。生活面も牛肉(ベンガルール・ビーフと呼ばれるブランド牛)と地場特産のクラフトビールを楽しむことができ、刺身は厳しいですが、調味料さえ十分に揃えることができれば、日本とそん色ない食生活を過ごすことが可能です。

ビジネス面においてですが、「IT・スタートアップ」に加えて、ボッシュ・トヨタ・ホンダといった製造業メーカーも進出しており、多種多様な構成となっています。特にIT部門ではほぼすべての米国系IT企業の開発部隊が軒並み拠点を構えており、GAFA(Google, Amazon, Facebook, Apple)もR&D部隊を置いており、R&Dとシステム開発をキーワードとして、人材が集積され、スタートアップも集まっているような状態です。COVID19大流行前では毎週何らかの団体がベンガルールにおいて、ミートアップや商談会を実施しており、活況を呈していました。この辺のBefore COVID19とWith COVID19の状況も折に触れて紹介していきます。

(ベンガルールの街並み、緑が生い茂る、筆者2020年に撮影)

(ピッチイベント@コワーキングスペース、2019年に筆者撮影)

(ベンガルール郊外のIT企業オフィス、2018年筆者撮影)

本ブログでは、インドのスタートアップエコシステムがどんな特徴を有しているのか、ベンガルールを中心に実体験に基づく事例を混ぜつつ、インド他の都市動向やマクロ経済や政治動向にも触れていきます。どうぞお付き合いのほど、宜しくお願い申し上げます!!

 

Profile

著者プロフィール
永田賢

Sagri Bengaluru Private Limited, Chief Strategy Officer。 大学卒業後、保険会社、人材系ベンチャー、実家の介護事業とキャリアを重ね、2017年7月に、海外でのタフなキャリアパスを求めてYusen Logistics India Pvt. Ltdのベンガルール支店に現地採用社員として着任。 現地での日系企業営業の傍ら、ベンガルールを中心としたスタートアップに魅せられ独自にネットワークを構築。2019年4月から日系アグリテックのSAgri株式会社インド法人立ち上げに参画、2度目のベンガルール赴任中。

Linkedin: https://www.linkedin.com/in/satoshi-nagata-42177948/

Twitter: @osada_ken

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