イタリアの緑のこころ
ロシアのウクライナ侵攻とイタリア、ウンブリア
ロシアがウクライナに侵攻してから5日目の今日、2月28日は、昼も夜も全国ニュースは、すべてこの侵略戦争関連情報の報道でした。
昨日の全国ニュースでは、イタリア全国で行われた戦争反対、ロシア軍の即刻撤退を求める集会、ウンブリアの地方ニュースでは、ウクライナから訪れるであろう多数の避難者の受け入れのための話し合いの様子などが、放映されました。
テレビニュース、TGLA7によると、2月25日から28日にかけてイタリアで行われた世論調査の結果、ロシアによる攻撃を、許されないと非難する人が79%、理解できるとする人が9%、分からないと回答する人が12%で、イタリアのロシアに対する経済制裁に賛成する人が56%、反対者が18%、分からないと言う人が26パーセントとなっています。
また、イタリアで利用する天然ガスの最大供給国は、その37.8%を供給するロシアであり、イタリアでは、すでに昨年末から原油価格が高騰し、そのために電気代やガス代に加えて、様々な商品価格が高くなってしまっています。それでも、TGLA7によると、世論調査では、ロシアへの経済制裁の結果、さらに高くなるであろうガス代を、払ってもいいと言う人が69%、払うつもりはないとする人が24%、分からないとする人が7%という結果になっています。同調査によると、ロシアに対する経済制裁に大きな効果があるとする人が36%、たいした効果はないとする人が64%となっているのですが、それでもウクライナへの侵攻を食い止めるために、イタリアが国としてできるだけのことをするべきだと考える人が、3分の2以上いるわけです。
ロシアに対する経済制裁には、わたしも賛成ではありながら、その効果をいぶかっていたのですが、今晩のニュースを聞くと、経済制裁は、ロシアにかなり大きな打撃を与えているようで、ロシアが停戦交渉に臨んだのは、経済制裁による打撃と予想以上のウクライナ側の抵抗のためだろうと、ニュースで識者が説明していました。
わたしの周囲でも皆が、ロシアのウクライナ侵攻や多くの方が亡くなり、亡命を強いられることに憤っています。ロシアも、ウクライナをはじめとする旧ソビエト連邦加盟国も、陸続きであるイタリアにとっては身近な国です。わたしが日本語を教える外国語学校に、ロシア語を教えるロシア人の同僚がいるほか、去年の夏までうちの隣に住んでいた夫婦は、奥さんがロシア人でした。わたしたちの山の家のすぐ近くにある古城を買い取って、豪華なホテルに改装し、エルトン・ジョンやヒュー・グラントを招待することがある大富豪も、英国在住のロシア人です。
また、イタリア国立統計研究所(ISTAT)によると、2021年1月1日の時点で、ウンブリアに居住するウクライナ人は4,480人いて、うち79%が女性であり、その大半は仕事がホームヘルパーであるとのことです。そして、地方ニュースによると、ウンブリア州だけでも、12万人の避難者の到着が予想されているそうです。そのため、州では受け入れ態勢を整えているのですが、一刻も早くロシア軍がウクライナから撤退し、ウクライナの人々が安心して自国で暮らせる日が戻ってくることを切に願っています。
著者プロフィール
- 石井直子
イタリア、ペルージャ在住の日本語教師・通訳。山や湖など自然に親しみ、歩くのが好きです。高校国語教師の職を辞し、イタリアに語学留学。イタリアの大学と大学院で、外国語としてのイタリア語教育法を専攻し卒業。現在は日本語を教えるほか、商談や観光などの通訳、イタリア語の授業、記事の執筆などの仕事もしています。
ブログ:イタリア写真草子 Fotoblog da Perugia
Twitter:@naoko_perugia