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バイデン政権のサプライチェーン見直し計画は、対中国戦略かつ国内選挙対策
サプライチェーンの見直しの最優先項目は「半導体」 REUTERS/Kevin Lamarque
<バイデン政権によるサプライチェーン見直しは、対中国の経済政策であり、国家安全保障政策であり、そして選挙対策にもなっている>
2021年2月26日バイデン政権は「サプライチェーンに関する大統領令」を発令し、100日以内に「半導体」「電子用バッテリー」「レアアース」「医薬品」などに関するサプライチェーン計画を策定することを決定した。したがって、遅くとも来月初めには大規模な計画の発表があることが予測される。
「敵」が定まると、徹底した物量戦略をとる米国スタイル
この計画は経済政策担当大統領補佐官だけでなく、国家安全保障問題担当大統領補佐官が共同まとめ役となっていることから、その位置づけが国家安全保障政策としてのものであることが明確となっている。
通常の場合、米国政府は自由経済・自由市場を重んじているものの、国家安全保障として一度認識された分野に関しては妥協無く惜しみない投資を行う特徴がある。
その投資がアフガンや中東における不毛な戦争に約600兆円を費やす馬鹿馬鹿しい行為に繋がることもあれば、インターネットの前身の開発に繋がるイノベーションを起こすケースも存在している。
そして、一度「敵」が定まった場合、その「敵」に対して徹底した物量戦略で押しつぶす米国スタイルは常に変わることはない。
「敵」は中国、最優先は「半導体」
今回の「敵」は言うまでもなく中国である。中国は事実上の国家資本主義国であり、中国共産党が重点を置く製造業に関して巨額の資金を投じる点において、米国にとって競争相手として不足ない存在だ。結果として、米国側が対抗上つぎ込む予算もその数字の桁が跳ね上がることは必然と言える。
サプライチェーンの見直しの最優先項目の1つは「半導体」である。
SIA(半導体工業協会)によると、米国は世界における半導体製造12.5%に対し、アジア圏は80%程度を占めており、米国の製造力面での劣後は著しい状況となっている。これは米国の国家安全保障にとって由々しき問題である。
バイデン政権は、2020年に可決した半導体産業を振興する2つの法案を背景とし、2012年3月末に発表したインフラ投資法案に半導体産業のための巨額予算を盛り込み、4月中旬にはホワイトハウスで半導体の需要者・供給者を一堂に会する半導体サミットを開催した。また、初の対面首脳会談となった日米首脳会談でも半導体のサプライチェーンの見直しは露骨に強調されるものとなった。
したがって、半導体振興に関する予算は鰻登りとなっている。巨額の予算が付くということは、それは同時に巨大な利権が生み出されることになる。
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