高齢者は社会のお荷物...日本化する中国の「敬老」
しかしそんな「敬老大国」も、今や65歳以上が人口の約15%を占める高齢社会に。日本の29%に比べればまだましだが、現役世代に介護の負担が重くのしかかる。
農村部では、子供が都会に働きに出てしまうことが多いため、残された親が面倒を見てくれる人もなく寂しく年老いていく。
さらには急速な経済成長により伝統的な価値観も揺らいでおり、老後の面倒を子供が見るという発想そのものがなくなりつつある。
世界屈指の高齢社会である日本では、老人に対する人々の視線は決して友好的ではない。
私は常々、日本では高齢者がまるで社会のお荷物、厄介者のように扱われていると感じていた。高齢者を腫れ物のように扱ったり、あたかも存在していないかのように振る舞ったりする姿を目にすることが多いからだ。
しかし今回帰郷してみると、そんな日本の悪しき現象が中国でも至る所でそっくりそのまま再現されていた。
医療や生活水準の向上に伴い、高齢者はますます増加していく。このままでは社会全体で分断が進み、将来的には国全体がそのツケを払うことになるだろう。
高齢社会の先輩として、日本にはぜひとも高齢者とそれを支える人々が互いにいたわり尊重し合える社会の仕組みをつくり、高齢化が加速する中国の手本となってもらいたい。
周 来友
ZHOU LAIYOU
1963年中国浙江省生まれ。87年に来日し、日本で大学院修了。通訳・翻訳の派遣会社を経営する傍ら、ジャーナリスト、タレント、YouTuber(番組名「周来友の人生相談バカ一代」)としても活動。

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