監視社会も影響か、無差別殺傷事件が頻発する中国...景気減速で広がる「メンタルヘルス問題」
メンタルヘルスを手掛ける非営利団体「キャンドルX」のディレクターで心理療法士のシャオジェ・チン氏によると、社会的な不公平感や格差の蔓延(まんえん)が、極端な場合には無差別な暴力へとつながる可能性がある。「社会的・経済的に取り残され、脇に追いやられた人々は公平に扱われていないと感じることがある。そして感情をうまくコントロールできない人は、時に暴力的な形で感情を爆発させることがある。
監視社会も影響か
公式統計によると、中国は暴力犯罪の発生率が世界平均よりもはるかに低い。しかし最近の無差別殺傷事件頻発で公共の安全性を巡る懸念が高まり、これまで暴力のない安全な街を誇りにしてきた市民は衝撃を受けている。
殺傷事件に関する話題が広範囲にわたって検閲を受けていることも不安が広まる要因になっており、公式発表の信ぴょう性を疑う声が大きくなっていると、専門家は指摘している。
シンガポールのS・ラジャラトナム国際問題研究院の上級研究員、ドリュー・トンプソン氏は「こうした検閲は、特に今年のように無差別で大規模な暴力事件が続く場合、国内の社会的な恐怖や政府への不信感を助長しかねない」と述べた。
復旦大学のチュー・ウェイグオ教授は最近発生した「社会に対する無差別的な報復」事件には共通点があると指摘する。加害者が不利な立場に置かれた人々で、多くは精神的な問題を抱え、不公平な扱いを受けて他に声を上げる方法がないと感じていたことだ。
チュー氏はソーシャルメディアに、カウンセリング支援が問題を緩和する可能性はあるが、個人の権利保護がより充実すれば不満を抱える人々の救いとなるかもしれないとする小論を投稿したが、すぐに検閲の対象となった。